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忘れ形見の孫娘たち
13.行こうよ
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乾いてたの?

「かずゆきー。足りない」
「……僕のも飲んでいいよ」
「ありがとー。かずゆき大好きー」

 世界一軽い大好きだなと思いながら、このシチュエーションを冷静に観察してみる。……なんだか鈴谷と二人でこうしてのんびり過ごすってはじめてな気がしてきた。

「なー鈴谷」
「んー?」
「二人のときにこんなにゆったりするのはじめてじゃない?」
「だねぇ。大体誰かがいたし」

 他愛無いテレビ番組の音声がホワイトノイズとなって居間に鳴り響いていて、それが逆に室内を静かに感じさせていた。

「かずゆきぃー。目、覚めた?」
「んー……まぁ。鈴谷は?」
「だいぶバッチリ」
「そかー」

 しかし妙な時間まで随分寝てしまったなぁ……八時過ぎのこの時間帯に起きちゃったら今晩はなかなか寝付けないぞ? ……あ、ちょっと待て。こいつ今晩どうするんだろう?

「お前今晩どうするの?」
「んー? どうするって?」
「いやお前、帰るだろ? なんでこっち来たんだよ。今晩どうやって帰るんだよ?」
「んー……分かんないけど……まぁいいんじゃん?」
「……」
「せっかくだし目も冴えてきたから、かずゆきにオールナイトで付き合ってもらおっか!」

 マジか……考えてみればこいつ、知り合った時からずっと僕に対してオールナイトでどうちゃらこうちゃらって言ってたなぁ。

「なにするなにするぅ? かずゆきぃ?」
「んー……しゃーないなぁ……たまにはオールナイト覚悟でいくかー」
「やった! かずゆき大好き!!」

 さっきに比べて幾分重みがました鈴谷の大好きを適当に受け流した僕は、鈴谷が飲み干した麦茶のコップを受け取り、それを台所に置いた。

「ちょっと外行こうぜ鈴谷」
「どこまで?」
「山の中。すぐ着くよ」
「山の中?!」
「どうした?」
「かずゆきに襲われる……ガクガクブルブル……」

 だったら来なくていいよといいつつ、テレビを消した僕はそのまま玄関に出る。

「置いてくぞー鈴谷ー」
「んあー! ちょっとまってよ!!」

 玄関においてある虫除けスプレーと懐中電灯を持ち、僕と鈴谷は外に出た。外では田舎の夏らしくカエルどもがゲコゲコと鳴き喚いていて、この街の田舎っぷりを演出するのに一役買っていた。

「どこいくのー?」
「いいから着いてきなよ」
「こわーい」
「アホ……あちょっと待って」
「ん?」

 鈴谷の手を取り、虫除けスプレーを吹いてやる。これから行くところは山の中。蚊が多いから刺されないようにしないとね。

「そっか! かずゆきありがと!!」
「どういたしまして。足は自分で吹いてくれ」
「そのまま吹いてくれればいいじゃん」

 鈴谷が男ならそうするけどさ……流石にスカ
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