Side Story
少女怪盗と仮面の神父 22
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ける。
「お前達の狙い通りシャムロックはここに来たんだ! もう良いだろう!? アルフィンを離せ! その子に汚い手で触るな!!」
「……あは。バカもここまで極まると、いっそ可哀想ね。誰が? いつ? シャムロックを呼んだというの?」
「な……!?」
ミートリッテを見下す目で、女性がクスクスと笑う。
「あれだけ分かりやすく誘導しておいて、何を……」
「ええ。お前が居れば、あいつらは身動きできなくなる。そういう意味で、お前の利用価値は稀有な宝石と同等だわ。逃がされたことが、改めてそれを証明した。だからここへ誘い込んだ。お前の身柄は活用させてもらうけど。でも、私達が本当に呼んでいるのはお前じゃないのよ。仔猫ちゃん」
まただ。
また、正体不明の集団が出てきた。
今度の集団は『誰』を指しているのか。
(私が居ると身動きできない『あいつら』。男性が言ってた『アイツら』と同じ集団……自警団のこと?)
「シャムロックは、お前達のエサとか盾だと言いたいわけ?」
「いいえ。あいつらにとってはそうでも、私達にしてみれば、お前は極上の装飾品。その愛らしい容姿、小鳥のさえずりにも匹敵するほどの澄んだ声。数年を掛けてじっくりと男の味をすり込めば、他に類を見ない妖艶な女へと生まれ変わるでしょう。ともすれば高級娼婦よりも多く稼げる逸材だもの。無駄に消費するのは勿体ないわ。この子もね」
女性の唇がアルフィンの左頬に触れ、ちろりと出した舌先で舐め上げた。
こんな時でさえ、少女は無表情に見えるが。
ぎゅうっと固く閉じた目蓋が、恐怖に竦む彼女の心を伝えてくる。
「……ゲス野郎って言葉は品性が足りてない男の為にあるんだと思ってた」
(無駄な消費は勿体ない? あんな所で雑に殺しかけといてよく言うわ!)
殴りたい。
今度こそ殺されたとしても構わない。
アルフィンを貶める汚らわしい女の顔を、全力で殴り飛ばしたい。
けれど、刃はアルフィンの喉元に添っている。
軽く横に動かされてしまったら、その瞬間に終わりだ。
両手をグッと握り締め、せめて目線だけでも怒りを表す。
「あはは! バカな山猫にも、冷静な判断力はあるのね。そうよ。動いたらお前の負け。この子を護りたいなら、大人しく私達に従いなさい」
ミートリッテの背後で、ザリっと砂を踏む音がした。
振り返らずとも、何者が何をしようとしてるのかは大体想像がつくので、抵抗はしない。
今は、まだ。
「お前達にはいろいろ訊きたいんだけど……とりあえず、『あいつら』って『誰』のことなの?」
背後から腕を取られる寸前の問いに、女性は淀んだ目をスッと細
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