Side Story
少女怪盗と仮面の神父 21
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たようだ。ゆっくり立ち上がって教会方面の道を覗けば、周辺に居た大人達の大半がバラバラと遠ざかっていく。
残った数人は少しだけ狼狽える素振りを見せたものの、直ぐに呼び掛けを再開した。
(……促されてる。どう考えても、アルフィンの家に誘われてるわよね……これ……)
多くの村人達は「ミートリッテ」を追い掛けて西側に集まる。
話を聞けば当然、グレンデルも彼を心配して集まった人達も揃って家を飛び出す。
移動も侵入も、難易度は格段に下がった。
見えない手に「さぁ、行け。」と背中を押された気分だ。それが良い意味でなら、素直に助かったと思えるのだが。
(……ぇえい! 善かれ悪しかれ、どっちみちアルフィンを捜す為には行かなきゃいけないんだ! 迷ってられるかッ!)
わざわざ罠を張ってくれてたのなら、アルフィン達が無事でいる可能性は極めて高い。急げばまだ間に合うと気合いを入れ直し、東側を正面に見据える。
(女の人が住宅区側に一人と、教会側に二人。男の人が村の出入口側に一人。うん。これくらいなら大丈夫!)
坂道を手前に低姿勢で構え。定めた進路からみんなの目線が外れる瞬間をよく見極め……疾る!
「え?」
「ん? どした?」
坂道の上方と下方で、男女が同時に振り返る。が。
「今、そっちで何か音がしなかった?」
「いや、こっちには何も無いぞ。……風か?」
ぐるりと回した彼らの視界では、数枚の真新しい木の葉がひらひらと舞い踊るばかりだった。
(死ぬ。冗談抜きで死んじゃうって、本当に。)
全力の上に慎重さを重ね、放たれた矢の如く疾走するとか。我ながら人間技じゃないわ!
などと、愚痴と賞賛を混ぜた一人言を頭の中で喚きつつ。
辿り着いたグレンデル親子の家の裏手、壁の僅かなでこぼこをよじ登り、二階部分で開かれた窓を利用して侵入する。
少し広い廊下に足裏を下ろすと、前方に二つ並んだ部屋の扉、右手側に踊り場付きの階段があった。
「お邪魔します」
予想通り空になっていた家の中で律儀(?)に頭を下げ、一階へ下りる。
正面の玄関扉は閉ざされているが、遠目に様子を窺った時は外側に男性が二人残っていた。気付かれないよう極力物音を抑え、階段左手側に設置されている食事場へ踏み込む。
そして、見付けた。
「……っ!?」
色彩豊かな花柄の紙に包んだ飴玉やビスケット等のお菓子で作られた山二つと、封が付いているマーマレードの小瓶を一つ乗せた、木製の四角いテーブル。
それを挟んで向かい合う二脚の椅子に、縄で縛り付けられたイルカのぬいぐるみと、ハウィスの家にある筈の「くータン」が、それぞれ座っている光景を。
(……そうか……。あの日はずっと家に居たのに、部屋にあったくータンが盗まれてしまったから。だか
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