第百十二話
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グウェン……」
メイン武器である忍刀は先程のリズとの戦いで破壊され、サブ武器であるクナイは全て消費されて。ばつの悪そうな表情でそっぽを向くグウェンに話しかけながら、ルクスは自らの二刀を鞘にしまった。
「……話を、しよう」
鞘にしまった二刀はリズとシリカから貰ったもので、あの水着コンテストのことを思い出し、ルクスの表情は自然とほころんだ。そして何度目になるかわからないその質問は――ようやく、彼女に通じたらしく。
「大丈夫か?」
「そっちこそ……と言いたいところだけど、随分大丈夫そうねぇ」
ルクスとグウェンを置いて森の中を歩いていったリズは、まるで待っていたかのようなショウキと遭遇した。HPはピナがヒールブレスで回復してくれたものの、血に濡れたような服までは直すことは出来ず。同じく戦いを繰り広げてきた筈のショウキは、対照的にほとんど無事で――いや、大丈夫じゃないところが一つだけ。
「凄い怖い顔してるわ。特に目」
「……直ってないか?」
殺気立った表情で困ったように笑うショウキの問いに、首を全力で横に振っておく。……あの浮遊城では時折見ていた、殺気を伴った真剣な表情。本人も普段の表情に直そうとしているようだが、久々だからかどうにもこうにも上手くいかないらしく、髪をガリガリと掻く様子にリズはため息を一つ。
「そんなんじゃ店番も出来ないわよ。ほら、直してあげるからちゃっちゃと屈む!」
「直すってどうやっ――へ?」
疑問を呈しつつも素直に膝を屈ませるショウキの両頬を、リズは思いっきり左右に引っ張った。表情と呼べる表情はなくなっていき、面白くなってきたリズはさらに上下にも動かしていく。
「……ふぉい」
「プッ……ふふ。ごめんごめん、でもいつもの仏頂面に直ったでしょ?」
両手が塞がっていなければ、記録結晶を使っていたのに――と、もう一度思い出し笑いをした後にショウキの方を見ると、確かに普段の仏頂面に直って頬を撫でていた。そんな様子が面白くて笑みがぶり返し、リズに釣られてショウキも笑みを浮かべると――
――どちらからともなく、草原に倒れ伏した。
『疲れた……』
一字一句同じようなことを呟きながら、隣り合わせで仰向け寝で空を眺める。浮遊城の中でどこまでも青空は広がっており、飛翔するための風が涼しげに顔を撫でていき、草むらがベッドのように反発する。目をつぶってしまえば、容易く意識が刈り取られてしまいそうだ。
「あー……寝る。これは寝る」
「向こう、助けにいかなくていいのか」
「どーせユウキが全員倒してくれんでしょ」
「あとリーファにクラインもな」
「……要するにそれ、シリカ以外全員じゃない」
「…………」
「
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