暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第百十二話
[7/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ね。どう、そっちは」

「……悪くないわね」

 身体や顔に付いた土を払いながら、リズはグウェンに向けてメイスを構えた。このALOにおいて、片方だけ飛翔することが出来ない、というのはハンデ以前の問題だ。にもかかわらず、まだ戦う姿勢を見せるリズに対し、グウェンは苛立たしげに顔を歪めた。

「頭おかしいんじゃないの、アンタ。私とルクスの問題に、もう関わってこないでくれる?」

「ルクスはあたしたちの友達でもある、って言ってんでしょ? あんたがルクスと仲直りするまで、悪いけど関わり続けるわ」

「仲直りぃ?」

 リズに引き裂かれてサイドテールとなった髪の毛を撫でながら、グウェンはリズの少し前に降り立った。リズのメイスはグウェンの視線を捉えて離さないものの、対するグウェンは余裕の表情で鼻を鳴らした。もはや立っているのも不思議なほどにボロボロになった、リズのメイスに当たる要素はまるでないからだ。

「だから、私たちを邪魔しなきゃ仲直り出来るわ。これはルクスと、また一緒に遊ぶための計画なんだから」

「……本当にそうなの?」

「……どういう意味?」

 ニヤリと笑ってのけたリズに、グウェンは舌打ちしながら問い返した。この計画は、今のALOを昔のSAOのような環境に戻しつつ、ルクスを自分たちとしかいられなくする計画だ。それに間違いはないにもかかわらず、リズは自信を持って首を振っていた。

「ホントにその計画とやら、あんたが考えたの?」

「……っ」

 確かにこの計画を考えたのはグウェンではなく、あのポンチョ付きの不気味な男だった。あの浮遊城の攻略の前半に起きたことらしく、ルクスの身も手に入るということで。

「無理よ。この計画とやらじゃ、絶対ルクスは友達にならない」

「……ふん。あんたがルクスの何を知ってるって言うのよ」

 リズとしても、ショウキがボヤいていた『浮遊城前半から最前線にいた連中しか知らないようなことを、中層のオレンジプレイヤーが知ってるのか?』ということから、半ば当てずっぽうで言ってみただけだったが、どうやらグウェンの反応を見る限り正しいらしい。自分たちも浮遊城前半のことは、キリトやアスナのまた聞きでしか知らず。相手にも浮遊城前半を生き抜いた、恐らくはオレンジプレイヤーが手を引いている――ということは、今はリズにとってどうでもいい。

「友達よ」

 グウェンからの『ルクスの何が分かる』という質問に対して、はっきりとグウェンに宣言してみせる。先の質問のような当てずっぽうではなく、今度は確信に満ちた堂々とした返答で。

「友達? 浮遊城の頃のルクスのこと、何にも知らないくせに?」

「でも、今のルクスのことは何でも知ってるわ。……その今のルクスは、アンタらの仲間になん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ