第百十二話
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ね。どう、そっちは」
「……悪くないわね」
身体や顔に付いた土を払いながら、リズはグウェンに向けてメイスを構えた。このALOにおいて、片方だけ飛翔することが出来ない、というのはハンデ以前の問題だ。にもかかわらず、まだ戦う姿勢を見せるリズに対し、グウェンは苛立たしげに顔を歪めた。
「頭おかしいんじゃないの、アンタ。私とルクスの問題に、もう関わってこないでくれる?」
「ルクスはあたしたちの友達でもある、って言ってんでしょ? あんたがルクスと仲直りするまで、悪いけど関わり続けるわ」
「仲直りぃ?」
リズに引き裂かれてサイドテールとなった髪の毛を撫でながら、グウェンはリズの少し前に降り立った。リズのメイスはグウェンの視線を捉えて離さないものの、対するグウェンは余裕の表情で鼻を鳴らした。もはや立っているのも不思議なほどにボロボロになった、リズのメイスに当たる要素はまるでないからだ。
「だから、私たちを邪魔しなきゃ仲直り出来るわ。これはルクスと、また一緒に遊ぶための計画なんだから」
「……本当にそうなの?」
「……どういう意味?」
ニヤリと笑ってのけたリズに、グウェンは舌打ちしながら問い返した。この計画は、今のALOを昔のSAOのような環境に戻しつつ、ルクスを自分たちとしかいられなくする計画だ。それに間違いはないにもかかわらず、リズは自信を持って首を振っていた。
「ホントにその計画とやら、あんたが考えたの?」
「……っ」
確かにこの計画を考えたのはグウェンではなく、あのポンチョ付きの不気味な男だった。あの浮遊城の攻略の前半に起きたことらしく、ルクスの身も手に入るということで。
「無理よ。この計画とやらじゃ、絶対ルクスは友達にならない」
「……ふん。あんたがルクスの何を知ってるって言うのよ」
リズとしても、ショウキがボヤいていた『浮遊城前半から最前線にいた連中しか知らないようなことを、中層のオレンジプレイヤーが知ってるのか?』ということから、半ば当てずっぽうで言ってみただけだったが、どうやらグウェンの反応を見る限り正しいらしい。自分たちも浮遊城前半のことは、キリトやアスナのまた聞きでしか知らず。相手にも浮遊城前半を生き抜いた、恐らくはオレンジプレイヤーが手を引いている――ということは、今はリズにとってどうでもいい。
「友達よ」
グウェンからの『ルクスの何が分かる』という質問に対して、はっきりとグウェンに宣言してみせる。先の質問のような当てずっぽうではなく、今度は確信に満ちた堂々とした返答で。
「友達? 浮遊城の頃のルクスのこと、何にも知らないくせに?」
「でも、今のルクスのことは何でも知ってるわ。……その今のルクスは、アンタらの仲間になん
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