第百十二話
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他のフード付き妖精の動きが鈍る――それも当然だ、目の前で仲間が正体不明の技でやられたのだから。
「どうした?」
わざとらしく挑発してみせるショウキが使ったのは、紛れもなくオリジナル・ソードスキル。この世界に来てもソードスキルを使うことの出来なかったショウキだったが、このALOで新たに作り出されたOSSは、何ら不自由なく作成することが出来た。
そして作成したOSSがこの《無明剣》。神速での突きと神速での引きをすぐさま行うことで、ソードスキルのシステム補助を加え、三度の突きをほぼ同時に放つソードスキル。かの有名な逸話から再現した一撃は、ショウキの唯一無二のソードスキルとなっていた。
「……来ないならこっちから行く」
せいぜい怖がれ――と、少々怒っているショウキは心中で呟きながら、突きの体勢を解いて一歩前に出ると。恐怖と焦りに囚われた、フード付き妖精の片割れが無策での突進を行ってきた――そうやって連携を崩すことこそが、ショウキの狙いだとも知らずに。
「このっ!」
マントから三節坤を取り出して襲いかかるフード付き妖精を、身体を捻って軽く避けてみせると、容赦なくスネに蹴りを入れる。弁慶の泣き所とも呼ばれるそこにダメージを受け、反射的に顔をしかめてしまうフード付き妖精に、今度は腹めがけてヤクザのような蹴りを放ち。後ろから慌てて連携攻撃を仕掛けようとしていた、もう一人のフード付き妖精に向けて、思い切り蹴り飛ばした。
「うわっ!」
突如として吹き飛んできた仲間を受け止めきれず、二人は武器を取り落としてながら、まとめて驚愕の言葉とともに大地に倒れ込んだ。そこに日本刀《銀ノ月》の刀身を発射すると、片方のフード付き妖精の腹を突き刺さって大地に貫通し、そのまま大地に縫い付けて貫通継続ダメージを与えていく。
「お、おい……」
幸運にも逃れた片割れは、仲間の腹に突き刺さった刀身を抜こうとするか、武器を拾って反撃しようするか、一瞬だけ迷い動きを止める。その一瞬の迷いはかなりの隙となり、刀身が再生成された日本刀《銀ノ月》の、刀身を振動させ切れ味を増すスイッチを押す。ギィィィィン――と、刀身が振動するノコギリのような音が大地に響き渡り、その音に気づいて防御体勢を取ろうとしていたが――遅い。
「せいっ!」
短い気合いの言葉を伴って。力強く踏み込んだ一足とともに、上段から放たれた唐竹割りは一刀のもとにフード付き妖精を斬り裂いた。
「……悪いな」
そしてポリゴン片とともに発生するエンドフレイムを疎ましげに振り払いながら、腹に突き刺さった刀身を抜こうとする、もう一人のフード付き妖精を見て。ふと、そんなことを呟いた後に、その心臓に振動刀を突き刺し、その減り続けていたHPにトドメを刺した。
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