第百十二話
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リカもまた、ニヤリと笑ってフード付き妖精を見返した。意気込みだけで勝てるならば誰も苦労はしない、と自らの戦力を理解していたシリカは、最初から彼女にしか出来ないことを狙っていた。他のメンバーにはない、シリカにのみ出来ることを。
「ハァッ!」
裂帛の気合いとともに。シリカを見下ろしていたフード付き妖精の背後から、ルクスの一撃が改心の当たりとして与えられた。そのままルクスの二刀の連撃が加えられ、フード付き妖精のHPゲージを赤く染めると、その姿をポリゴン片と化した。ルクスはそれを一瞥することなく、ボロボロになったシリカに駆け寄った。
「シリカ、大丈夫かい!?」
「えへへ……ちょっと大丈夫じゃないです」
駆け寄ったルクスの肩に乗っていたピナが、ボロボロのシリカにヒールブレスを放っていく。シリカにしか出来ないこと――シリカの狙いは、麻痺毒を解くブレスが放てるピナに、囚われたルクスを回復してもらうこと。フード付き妖精の一撃で分断されてしまったため、敵の脳内からは消えていたが……わざわざ指示をせずとも、ピナはシリカの考えてることなど分かっている。
「……すまない。こんなことに巻き込んで」
「なに言ってるんですか! どんとこいですよ!」
「そういうこと!」
ピナをシリカに返すルクスたちを守るように、リーファが長剣を持って降り立った。まだ戦う気力も数も十分に残るまだ数多くの敵プレイヤーを警戒しながら、リーファはあることを伝えていく。
「ルクスはリズさんを助けに行って! 多分、一人であのグウェンって奴と戦ってるの!」
「ええっ!?」
「ピナが案内します! ルクスさん、お願いします!」
勝ち目があるわけもないそのリズの戦いに、場違いなルクスの驚愕の声が響いて。ヒールブレスによるシリカの回復が終わり、あるテイムスキルを発動したピナが再びルクスの前を飛翔する。そのままついて来いと言わんばかりに、森の中へ飛んでいこうとするピナに、またもや不可視の一撃が加えられる――
「見つけた! そこ!」
――と思いきや、ピナを庇うように前に出たリーファの近くで、その不可視の一撃は妨害された。それはリーファの魔法である風の鎧であり、周囲に吹き荒れる疾風が遠距離攻撃を無効とする――あらかじめ発動されていたその魔法に阻まれ、シリカを襲っていた不可視の一撃が正体を表した。
「鞭……!」
見えなくなるまでギリギリに細くした、鋭くしなる鞭がその正体。それを《隠蔽》スキルで隠れながら、もう一人のフード付き妖精が放っていたようだが、正体が分かった今リーファの敵ではなく。
「ええぃ!」
鞭が放たれた軌道からプレイヤーの位置を読んだリーファが、あっさりと《隠蔽》スキルを見破ると。その飛翔
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