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英雄伝説〜光と闇の軌跡〜(零篇)
第70話
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「大丈夫、心配いりません。………どうですか、キーアさん。何か思い出してきませんか?」

「んー……………………」

シスターに尋ねられたキーアは目を閉じて考え込み

「………なんかね、暗くてでっかい場所がアタマの中に浮かんできた。上の方がぼんやりと光っててキレイだけど、ちょっとコワイ感じ。」

そしてどこか不安げな表情で答えた。

「暗くてでっかい場所………」

「どこの事でしょうか………?」

キーアの言葉を聞いたロイドは呟き、ティオは考え込んでいた。

「その光景以外に思い出した事は………?ご家族のこととか、住んでいた家のこととか。」

「んー………そっちはゼンゼン。」

「そうですか………………………」

一方キーアの答えを聞いたシスターは法術をキーアに放ち続けるのを止めて、考え込んでいた。



「えっと、マーブル先生?」

そしてシスターの様子を見たロイドはシスターを見つめて尋ねた。

「………どうやら法術ではここまでが限界のようです。心理的なアプローチから引き出せる記憶はここまで………ひょっとしたら………何か神経系に関する問題があるのかもしれません。」

「神経系の問題………」

「それはどういう………?」

「………端的に言うと脳の神経に関する問題です。何らかの原因で記憶に関する神経の伝達が阻害されてしまっている………その可能性がありますね。」

「そ、そんな………それって………何とかならないんですか!?」

シスターの話を聞いたロイドは信じられない表情をした後血相を変えて尋ね

「そうですね………教会に伝わっている法術は心と精神に関する領域………”癒し”を専門とするイーリュン教の魔術でも、恐らく法術とそう大差はないでしょう。ひょっとしたらこの問題は、近代医療の方が向いているのかもしれません。」

尋ねられたシスターは考え込んだ後答えた。

「え………」

「近代医療というと………」

「ええ、聖ウルスラ医科大学です。これまで近代医療では心と精神に関する分野の研究は不十分とされていましたが………数年前、あそこでは『神経科』という部門が立ち上げられ、優秀な研究者もいると聞いています。そちらに相談したら、教会とは違ったアプローチが期待できるかもしれません。」

「『神経科』ですか………(あれ、どこかで聞いたような?)」

「ロイドさん………相談に行ってみた方がいいのではないでしょうか?」

「ああ、そうだな。―――先生。ありがとうございます。早速、ウルスラ病院に行ってみようかと思います。」

「ええ、それがいいでしょう。………すみません。あまり力になれませんでしたね。」

ロイドにお礼を言われたシスターは頷いた後、申し
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