4,鴉と鼠
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始まりの街の黒鉄宮で再会したアルゴはアバターこそ昔とは違っていたが、ひげのフェイスプリントだけは昔のままですぐに分かった。
「クロちゃんはそんな顔だったのカ」
と売れもしない情報をメモしているが、それはしょうがない。
金褐色のカールした髪にげっ歯類を思わせる顔。こいつこそこんな顔だったのか、というかネカマじゃなくて女だったのか、とマジマジと見ていると
「オンナの顔をそんなに見るもんじゃないヨ」
と顔をそらされてしまった。これ以上見ると、「見るなら500コルだヨ」とか言われそうなのでやめておこう。
「それにしても、クロちゃん。どうやってログインしたんだヨ」
「いや。リネームアイテムをドロップしてだな……」
「違うネ。そんなアイテムは聞いたこと無いヨ。それにオイラが相棒にメッセージを送らないと思ったのカ?」
まだまだあると言って、アルゴが指さしたのは黒鉄宮にある大きな碑だ。糞でかい中にビッシリと何か書いてある……あれは、
「プレイヤネームか、畜生」
フフン、とアルゴが済ました顔で笑う。恐らくアルゴは既に俺の名前があるのかを調べたのだろう。そして、音信不通の俺が死んじまったのかも含めて。。。
「特別にタダで教えてやると、一番端にあったから結構楽だったゾ」
なるほど、茅場明彦は完全に俺らの侵入をわかった上で放置したということか。
余裕の構えに少しイライラするが、それがあの男の姿だろう。
ならば、少しくらいしゃべっても問題ないか。
「アルゴ、頼みがある。今わかっているβテストとの違いと攻略情報を全部教えてくれ」
「高いゾ。対価はあるんだろうナ」
「この世界では手に入らないとっておきの情報と物々交換ってのはどうだ?」
お互いにニヤリと笑った。交渉成立というわけだナ。
アルゴの話は衝撃的な展開ばかりだ。そしてどれもこれも悪い情報ばっかだ。
ーー1800人ものユーザーの命が消えていること
ーーボスの技変更によるディアベルの死と一層攻略
ーーキリトが背負ったビーターとしての断罪
−−
既にSAOは俺のやっていた楽しいゲームではなくなっている。
「これはゲームであっても遊びではない」
茅場明彦もうまいことを言ったものだ。
もはや誰一人として、このゲームを遊びとして捉えているプレイヤーは居ないだろう。
アルゴはアルゴで俺の語った話−−既に外部救出の道が絶たれたことに少なからず衝撃を受けているようで、こんな時にも遊んでいるようなその姿勢が崩れ、珍しく萎れてしまっている。
「大丈夫だよ。その為に俺も来たんだ」
ポフ、っとアルゴの頭に手をやり、巻き毛をクシャクシャにした。ハラスメントコードに引っかかるのではないかとも思ったが、一先ずギリギリセーフみたいだ
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