第三章
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「今はな」
「それは何故だ」
「何故そう言える」
「その小さな顔で彼に勝つと」
「その様なことが」
「この鉾に誓ったからだ」
怪物にもだ、ポセイドンはその手に持つトライデントを見せた。
「汝を倒すとな」
「ではだ」
「その様にしてみるのだ」
「そこまで言うのならな」
「出来ればな」
「では行くぞ」
ポセイドンは落ち着いてだ、そのうえで。
トライデントを手に怪物に向かった、怪物の百の頭と巨体が動き。
死闘がはじまった、両者は一歩も譲らず。
海を揺らす闘いだった、ポセイドンはその鉾で。
怪物の攻撃を退け迫る頭を一つ一つだ。
叩き刺し払ってだった、倒していった。
その身体にも突き刺してだ、体格こそ劣るが。
闘いを優勢に進めていた、闘いは一週間続いたが。
最後に立っていたのはポセイドンだった、怪物は百の頭を全て倒され。
全身からドス黒い血を海の中に出して漂わせつつだ、死を迎える中で言った。
「何という強さだ」
「我を倒すとは」
「テューポーンに等しい我を倒すとは」
「まことにそうするとは」
「言った筈だ、余は今は嘘を言わぬとな」
ポセイドンも全身傷だらけだ、彼とて無事ではなかった。
しかし毅然として立っていてだ、こう怪物に言うのだった。
「この鉾に誓ったからな」
「だからか」
「それでというのか」
「我を倒した」
「そうだというのか」
「このトライデントは海の主神の証だ」
そうしたものだというのだ。
「それで嘘を言う筈がない」
「その鉾にかけてか」
「それが御前の誇りか」
「だからか」
「その通りだ、この鉾は余が海の主神である証でありだ」
そしてというのだ。
「誇りなのだ」
「誇りだからこそ」
「余は汝に破れなかった」
「そうか、わかった」
海蛇はここまで聞いてだ、ポセイドンのその言葉に頷いた。
そしてだ、そのままこと切れた。ポセイドンは海底にこれ以上はないまでに深く大きな穴をだ。
トライデントを海底に突き刺したうえで即座に作り怪物の骸をその中に入れてそこからトライデントを動かし土を被せてだった。
埋葬してだ、己の馬車のところに戻り海馬達を動かしてだった。
己の宮殿に帰りだ、海の神々に笑顔で言った。
「戻ったぞ」
「お待ちしておりました」
「それでは」
「傷の手当をして身体を清めてだ」
そのうえでというのだ。
「宴を楽しむ、よいな」
「わかりました」
「それでは」
「言った通りになったな」
こうも言ったポセイドンだった。
「余は勝って帰った」
「トライデントに誓われた通り」
「そうなりましたな」
「誇りに誓ったことは決して破らぬ」
ポセイドンは確かな声で断言した。
「それが余なのだ、で
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