第二章
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「わかったな」
「はい、それでは」
「お帰りを待っています」
「宴の用意をして」
「そのうえで」
「このトライデントにかけて言う」
海の神々にそのトライデントを見せて言った、持っているそれを前に出して。
「余は必ず勝ちて帰る」
「では」
「我等もまた」
「そなた達は疑う必要も心配する必要もない」
ポセイドン、彼自身をというのだ。
「ただ待って用意をしていればいいんだ」
「さすれば」
神々はポセイドンの言葉に頷きだ、玉座から立ち上がり自ら海馬達が曳く馬車を操って出陣したポセイドンを見送った、そして。
すぐにだ、神々は青い宮殿の中で用意に入った。
「さて、酒にだ」
「馳走を用意しよう」
「ポセイドン様が帰られた時に備えて」
「宴の用意をしよう」
ポセイドンを信じていた、何故なら。
「あの方がトライデントにかけて言われた」
「絶対の誓いをされた」
「それならばだ」
「あの方は必ず帰られる」
「勝たれたうえで」
彼等も確信していた、彼等の主の誓いを見たからこそ。
ポセイドンは海の果てまで来た、そこで馬車を降り海馬達にこの場に留まる様に告げてだ。そこからは一人で先に進むと。
世界を一回り囲む様な巨大な漆黒の身体を持つ蛇がいた、禍々しい頭が百もある。
その大蛇がだ、ポセイドンを見て百の頭で彼に問うた。
「何の用だ」
「一体何の用だ」
「誰だ」
「御前は誰だ」
「余はポセイドン」
ポセイドンはまずは名乗った。
「海の主神、そして汝を倒す為に来た」
「我を倒すというのか」
「そう言うのか」
「この我を」
「そう言うのか」
「如何にも」
百の頭でそれぞれ言う蛇に答えた。
「その為にここに来た」
「愚かな、その小さな身体でか」
「我を倒すというのか」
「この我を」
「戯言を」
「余は今は戯言は言わぬ」
怪物は百の頭をもたげた、深海の底にいるというのに。
百の頭は海面に届こうとしている、途方もない大きさだ。
その大きさの怪物を見上げつつだ、彼は言うのだった。
「海を荒らし我がもの顔で暴れるそなたを倒す」
「戯言でないと言うか」
「我を見ても」
「それ自体が戯言だ」
「そのことを今ここで証明してみよう」
「貴様を倒してな」
「何度も言うが余は戯言は言わぬ」
ポセイドンはまたこう言った。
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