第六章
[8]前話
「悪くないと魅力ないか」
「俺達狼はな」
「そういうポジションってことだな」
「悪役ってことだ」
「そうした役回りなんだよ」
「悪役スターなんだよ」
仲間は既にわかっていて受け入れているという感じだった、それがよく出ている。
「そっちで人気あるからな」
「魅力あるってな」
「それで納得しろ」
「というか誰でも知ってるぞ、俺達は」
「知らない奴なんていないぞ」
「メジャー中のメジャーだぞ」
「それならいいだろ」
誰もが自分達を知っているからだというのだ。
「もうそれで納得しろよ」
「何も問題ないぞ」
「誰も知らないとかじゃないからな」
「狼、何それとか言われるのとどっちがいいんだよ」
「それは決まってるだろ」
当然だとだ、オスカーは答えた。
「知られてる方がずっといいさ」
「だったらそれでいいだろ」
「悪役スターでな」
「もうそれで納得しろ」
「そういうことでな」
「納得するしかないか」
ここまで言われてだ、オスカーも釈然としないものを感じているがそれでもだった。彼は納得するしかないと悟った。
そしてだ、仲間達にこう言った。
「そういうことか」
「ああ、じゃあな」
「そういうことでな」
「俺達は悪役だよ」
「そういうポジションってことでな」
「色々事実と違うことを言われていても」
それでもとだ、また言ったオスカーだった。
「それを受け入れた方がいいか」
「そういうことでな」
「まあ納得しろ」
「釈然としなくてもな」
「そういうことでな」
「わかったって答えるしかないな」
こう言ってだ、オスカーはもう狼の真実を宣伝することはしなくなった。そして事実無根の話をそのままにしておくことにした。結局それが彼等をメジャーにしていることがわかったからこそ。
どうして俺ばかり 完
2016・5・23
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