1,プロローグ
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が意気揚々と帰国のジェット機に乗り込んだところで今世紀最大の事件が俺の耳に届くことになる。
――ソードアート・オンラインがログイン不可能のデスゲーム化していたのだ。
飛行機でそのニュースを聞いたときは「まさか・・・」と思わず立ち上がってしまった。
アメリカでは1層のトールバーナー並の田舎に住んでいたし、他のユーザーのブログなんて耐えられないから見なかったから今まで知らなかったが、日本では大騒動になっているようだ。
軽く調べるだけで、ホイホイとニュースが上がってくる。
――ナーヴギアの破壊・解除は即刻死亡につながること
――既に一千人以上の心停止が確認されたこと
――ログイン不明の一万人は病院に移送された
――開発者の茅場明彦が雲隠れし、外部からの救助の手段は皆無であること
――俺も使っているMMOトゥデイのシンカー氏もSAO内に監禁中だということ
これが、俺がやけ酒を今飲んでいる二番目の理由なのだ。
一ヶ月ぶりの下宿先は懐かしいような、ないような微妙な感じだった。
築十余年のボロボロの階段を上がると、俺の部屋の前には妙なものが2つ。
ひとつは、俺と長旅を共にしてきたキャディバッグ。何が妙って既に中身を開けられて広げられてしまっている。
お陰で、無理やり詰め込んだおみあげやら下着やらが公衆の面前で晒し者だ。
その奥に潜むアレヤコレヤが面に出ていないのは不幸中の幸いだろう。
そして、もうひとつはその横に立つスーツ姿の女性。
押し売りにしてはその姿は凛々しいという言葉が似あっており、すっと伸びた背筋は実際以上に背の高さを意識させる。
まさか、この人が俺のバッグをあさったのか?
バッグを開け、俺の下着やアレヤコレヤをクールに見下ろすさまを想像する。いや、マズイでしょ。男として。
「クロウさん、でよろしいですか?」
振り返った女性は俺のキャラネームを口にした。
威厳のある声に姿勢を正しながら頷くと、彼女はポケットから手帳のようなものを取り出し、俺に見せてくる。
テレビやなんやでは見慣れた警察手帳、現物では初めてだが、彼女の佇まいから本物に間違いあるまい。
ご同行、願えますか?という枕詞で彼女が予想外の言葉を紡ぐ。
「SAO事件であなた――プレイヤー、クロウさんに捜査協力をお願いしたいのです」
ピコン、とアインクラッドでのイベントポップアップの音が気がした。
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