第一章
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ダンデライオン
ゴールドラッシュというとカルフォルニアだったがこれはアラスカでもあった、アメリカ合衆国がロシアからこの極北の地を買い取るとだ。
最初は広いだけの極寒の地と思われていたがそこに金が出るとわかるとカルフォルニアの様に人が集まった、そしてあちこちで掘られだした。
スティーブ=シーンもそのうちの一人だ。彼は仲間達に笑ってこう言った。
「カンサスの大平原で広いだけの畑耕すよりもな」
「ここで一攫千金か」
「それを狙ってるんだな」
「そうだよ」
まさにとだ、スティーブは細く青い目を笑わせて言った。
「だからここに来たんだよ」
「まあ掘れるかどうかわからないがな」
「少なくともここには夢がある」
「夢を目指して掘ろうぜ」
「アメリカン=ドリームってやつをな」
仲間達もそのスティーブに笑って応える、そしてだった。
スティーブはカンサスの畑仕事で身に着けた大柄で筋肉質の身体を使って金を探し続けていた。その住まいはというと。
最初はテントだったが粗末ながら家になった、食べるものはというと。
「何だ、御前今日もか」
「そういう御前もだろ」
スティーブは一緒に仕事の合間の昼食を摂る仲間に返した。
「干し肉とパンだろ」
「それも硬いパンな」
「あとコーヒーだな」
「同じもの食ってるな」
「というかこればかりだな」
スティーブは笑ってこうも言った。
「俺達は」
「そうだな、ここにいる奴等はな」
「肉とパン、コーヒーでな」
「あと強い酒だな」
言うまでもなくアラスカの寒さを乗り切る為のものだ。
「そういうのを飲み食いしてな」
「それで生きてるな」
「金探してな」
その肉の種類は様々だ、この辺りの海や陸地にいる野生動物や豚や牛等の干し肉だ、燻製の場合もあるがどちらにしても保存用だ。
それとパン、コーヒーに酒だ。そうしたものを食いながらだった。
スティーブは友人に笑ってこうも言った。
「こうした生活をしてるとな」
「何だ?」
「俺達もエスキモーと変わらないな」
こう言うのだった。
「ここらにいるな」
「ああ、エスキモーとか」
「変わらないもの食ってるだろ」
「確かにな」
友人もスティーブにその通りだと答えた。
「それは同じだな」
「同じ様な生活もしてるしな」
「連中は氷の家でな」
「俺達はテントか粗末な家だ」
「バラックのな」
「そうした状況だからな」
それでというのだ。
「何だかんだでここにいるとな」
「同じになるな」
「そうだな、ただな」
友人はスティーブにこんなことを言った。
「あの連中壊血病にはならないな」
「ああ、そういえばそうだな」
スティーブは硬い干し肉を奥歯で噛みながら応えた
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