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王道を走れば:幻想にて
第四章、序の3:旅立ちの日に
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るべきだ。貴殿の持つ騎士という称号、友を増やす度に、利用される危険も増していく。充分に理解しておくのだ」
「そうだぞ、ケイタク。上の話題から下の話題まで深く話せる奴が真の友だ。お前の性癖までオープンに出来る奴が出来るよう、頑張って自分自身を磨いておくんだな」
「かといって女友達はあんまり増やさない方が良いぞ。お前の事だ、誰にでも仲良くしている筈が、何時の間にかお前を狙って女同士で対立し合うってのも有り得るからさ。ま、そん時は甘いものでも食って現実から逃避しろ」

 臆面も無く礼を逸した助言をする部下を一つ見ると、半ば憤然としたような面持ちでハボックは続けた。

「こういうのを友と呼ぶかは非常に疑問だがーーー」
「酷いですよ隊長!!同じ釜の飯を食う仲じゃないですか!」
「そうですよ隊長!同じ女性を愛でて、崇拝する仲じゃないですか!」
「黙っておらんか、貴様等!!!・・・兎に角だ、くれぐれも向こうでは気をつけろよ」
「承知しております、隊長。彼らの術中に取り込まれぬよう、心を配ります。・・・それからミシェル、パック。お前等、俺が居ない間に俺の事を変な風に言いふらすんじゃないぞ?いいな、絶対だぞ!」
「えぇ?お前が結構浮気体質な事とかぁ?」
「そうだなぁ、意外とハーレム構築願望があるとかぁ?まさか、言う訳無いよなぁ?」
『なぁ?』
「絶対言うんじゃねぇぞ!!もし言ったらな、ミシェルっ、てめぇの姉貴にてめぇらが娼館の女に心底ゾッコンだって事告げてやるからな!!」
『それだけは止めて下さい、お願いしますっ!!ああっ、そんな行かないで下さい、ケイタク様ぁぁ〜』

 ふざけ二割、本気八割の悲鳴を背後に慧卓はさっとその場を後にしていく。彼らなりの激励の仕方であるのが理解できて、心の中は言葉の苛烈さとは反対に温かなものを感じていた。小さく笑みを浮かべていると、段々と人波の動きが整然としたものになってきた。そろそろ時間が迫ってきているようであり、会話出来るのは後数名程度、といったところか。
 そうこう考えていると、騒ぎを目と耳で認識していたのか、解せぬといった表情をしたブルーム卿の姿が目に入る。

「・・・ケイタク殿。貴殿の友人は、そのなんだ、とても個性的な者達だな」
「は、ははは・・・真面目に評価するよりかは、出来れば笑い飛ばして下さい、ブルーム卿」
「出立前からそう微妙な表情をするな。兵や侍女共に見られたらどうする心算だ。貴殿はもう立派な騎士なのだぞ?」
「・・・申し訳ありません。自覚が足りないようでした」
「いや、過度に気にする必要もない。貴殿はこれからの者なのだ。学ぶべき事は大い方が、貴殿のためにもなろう。・・・それと、貴殿の友人達にもな」

 更に何ともいえぬ表情をして卿は慧卓の背後を見遣る。式典前だというのに礼儀作
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