暁 〜小説投稿サイト〜
たった一つの笑顔
第六章

[8]前話 [2]次話
「三日経てば忘れる」
「そう言うわね」
「まあそれでもね」
「いいのね」
「別にね」
 それこそというのだ。
「もうわかっててだから」
「お家に入れたのね」
「酷い娘だけれど」
 それでもというのだ。
「あの娘がいるから」
「元気なのね」
「じゃあ真礼ちゃんも会うわよね」
「その為に来たからね」
「それじゃあね」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 二人で沙織の家まで来た、コンクリート建築のマンションと言っていいアパートの二階である。真礼もよく来ている部屋だ。
 その部屋に入るとだ、急に。
 奥から黒地に白や黄色が入った短い毛の猫が来た、身体は小さめだが動きはかなり速い。そしてその猫がだ。
 玄関に向かって来る、だが。
 沙織はその扉を素早く閉めてだ、こう真礼に言った。
「油断するとね」
「脱走するのね」
「そうなの、そうするから」
「閉めるのはなのね」
「素早くよ」
「そのことも大変ね」
「それでね」
 沙織はその猫を見つつ真礼に話した。
「この娘がミミよ」
「沙織の新しい家族ね」
「妹よ」 
 にこりとして言うのだった。
「悪い娘よ」
「そうなのね」
「そう、本当に気をつけてね」
「引っ掻いてくるから」
「あと顔も攻撃したりしてきたから」
「それ物凄く危ないでしょ」
「だからそうしてきた時は怒ってたの」
 玄関で靴を脱ぎつつだ、沙織はこうも話した。
「それでしなくなったら」
「それは何よりね」
「ただ、夜寝てたら上に乗しかかってきたりお布団の中に出入りしたり」
「大変ね」
「そうしたことしてくるから」
 だからだというのだ。
「本当に大変よ」
「困った娘なのね」
「言った通りね、だから真礼ちゃんも気をつけてね」
 ここでもこう言うのだった、真礼も靴を脱いで部屋の中に上がっている。二人でまずはキッチンに向かう。
「足を引っ掻いたり両方の前足で掴んだりもしてくるから」
「本当に悪い娘ね」
「こんな悪い娘はね」
 そうそうと言うのだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ