第三章
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「財宝も集めさせて」
「そしてか」
「お命のある限り我等に残して下さる」
「そうされるのだな」
「何という叡智か」
「立たれて見られることにより働かせる」
「素晴らしい方だ」
民達はスライマーン、立ってジン達を見ている彼を見てその叡智に深く感動した。彼は何日も何日も立っていた。
それはかなり長い間続いた、その彼を見てだった。
民達は彼があまりにも長く立っているのでだ、こう言いはじめた。
「もうどれ位だ」
「どれ位立たれている」
「随分と経つが」
「まだなのか」
「王は立たれているのか」
「そしてジン達を働かせているのか」
「もうすぐだ」
民の一人が神殿を見回して言った。
「神殿が完成するな」
「素晴らしい城壁が出来るぞ」
「国の全ての堤防と橋も完成する」
「田畑も出来上がる」
「金銀も宝石も堆く集められている」
世界中から集められたそれ等もだ、かなりのものになっていた。
「魔法の品は数えられない位になっている」
「もうだ」
「うむ、充分だな」
「これだけ途方もない遺産を遺して頂いて」
「何と言うべきか」
「それでもまだ立たれているのか」
「ずっとな」
「杖をつかれているが」
スライマーンは杖をついている、そのうえで立っているのだ。
「あの杖で立たれているにしても」
「昼も夜も立たれている」
「毎日な」
「それも何年もだ」
「一体どれだけだ」
「どれだけ立たれるおつもりか」
民達は気が遠くなるだけ立っているスレイマーンを見て次第にそう考える様になった、だが。
スレイマーンは尚も立ち続けた、そして。
遂に神殿が完成し国の全ての城壁や建物、堤防や橋が完成してだ。
何百年も途方もない贅沢をしても使いきれないだけの富、それに。
数多くの魔法の品が集められた時にだ、不意に。
スレいマーンが持ち己を支えさせていた杖がだ、ぽきりと折れてだった。スレイマーンの身体は前からだった。
ゆっくりと落ちた、そしてそのままだった。
彼は動かなかった、その王を見てだった。
民達は急いで彼に駆け寄った、すると。
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