第二章
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「そなた達にかなりの間困らないだけの遺産は置いておこう」
「遺産?」
「遺産といいますと」
「金や銀、財宝に城に田畑に堤防だ」
そうしたものをというのだ。
「富と政に使えるものを出来るだけ置いていこう」
「王が亡くなられてもですか」
「我等が困らない様に」
「そうしたものをですか」
「置いていって下さるのですか」
「ジン達は私が死ねばすぐにこの国を去る」
使役している彼がいなくなれば自由だからだ。
「しかしそれまでの間にだ」
「富や城、堤等をですか」
「我等の為に置いていって下さるのですか」
「その様に」
「そうする、だからな」
それで、というのだ。
「わかりました」
「それではです」
「王にお願いします」
「そのお心を頼らせてもらいます」
「知恵を使うとしよう」
スライマーンは微笑んだまま言った。
「神殿を築き他のこともな」
「進められてですか」
「我等の為に残されますか」
「その様に」
「城、街、堤、橋、農地を全て整え」
そしてと言うのだった。
「神殿だな、特に」
「壮麗な神殿をですね」
「築かれる」
「これまで以上のものを」
「そしてだ」
さらに言うのだった。
「富も集める、書も魔法の道具もな」
「残された我等の為に」
「そうして下さいますか」
「人は必ず死ぬ、しかし残ることは出来る」
遺産、それをというのだ。
「私も老いてきた、そろそろしていこう」
「お願いします」
民達はスライマーンの心を知り頷いた、そしてだった。
スライマーンはジン達を使役し続け彼が言った通りのことをさせた。政の助けをさせて富や書、魔法の品を集めた。
そしてだ、ジン達に建築させている神殿においてだ。
彼は杖をついて立ち続けた、それも昼も夜も。その彼を見てだった。
ジン達は見張られていると思い真面目に働いた、民達もだ。
その立ち続けている彼を見てだ、口々に言った。
「ああしてずっとな」
「ジン達を見ておられるか」
「そして御自身が亡くなられるまでにか」
「多くのことをさせるのか」
「ジン達に」
「それがあの方のお知恵か」
彼等はここでこう察したのだった。
「素晴らしいな」
「流石は王だ」
「常に見ていれば怠ける者はいない」
「ジンも働くしかない」
「そして常に働かせ」
「築かせ」
神殿も城も橋等もだ、見れば見事な城壁が出来上がり尚且つ国の至る場所が整ってきている。
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