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スペインの真実
第六章

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「あえて」
「ああ、そうだ」
「起こさせてだ」
「人民を犠牲にしてでもだ」
「共産主義を実現していく」
「それがソ連ってことだな」
「何てことだ」
 苦い顔で言うフィッシャーだった。
「平和は嘘か」
「平和より革命か」
「だからスペインでもこんなことになっているんだ」
「内戦になっている」
「しかもな」
 その内戦の中でというのだ。
「これもだ」
「当然のことだ」
「共産主義にとっては」
「革命が第一ってことだな」
「平和よりも」
「人民よりも」
「平和や人民が第一じゃないのか」
 フィッシャーは項垂れて言った。
「全てが平等で」
「その平等もな」
「どうも怪しいな」
「どの組織も委員長だの書記長だのの言葉が絶対だな」
「それに逆らうことは許されない」
「逆らえば組織の中でも粛清されかねないぞ」
「何処が共産主義なんだ」
 今度はこうしたことをだ、フィッシャーは言った。
「平和でも平等でもない、人民を犠牲にすることも厭わない」
「これが共産主義なのか?」
 義勇兵の一人がこんなことを言った。
「実はな」
「平等や平和は、か」
「建前でな」
「革命を起こしてか」
「委員長や書記長だのがトップになってだ」
 そのうえで、というのだ。
「絶対者になる」
「そうした世界か」
「それが共産主義じゃないのか」
「・・・・・・学びなおすか」
 フィッシャーはここで立ち止まった、そして。
 戦場を離れイギリスに戻った、それからマルクスやエンゲルスを読みなおしソ連のことも念入りに学びなおした。
 そのうえでだ、オズバーンにティータイムの時に言った。
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