第一章
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シャーペン殺人
殺人事件が起こった、だが今回の事件は普通の殺人事件とは違っていた。
まずは犯人だ、その犯人はというと。
「予備校生ですか」
「そう、十九歳のね」
新米刑事の加藤涼介にだ、森下恵警部は話した。そろそろ四十近いがすらりとした長身はまだ若々しい。顔立ちは細い眉とはっきりした目がモデルのそれの様であり唇は薄いピンクで大きめだ。黒く長い髪を後ろで束ねている。首の長さが目立っている。スーツは地味なグレーでズボンをはいている。
涼介は太い眉に二重の全てを見透かす様な目を持っている、面長で鼻立ちは均整が取れている。黒く豊かな髪を短くしている。背は女性としては高い恵よりもさらに高く一八五はある。
二人は刑事課のその部屋の中で話している、そこでだ。
恵は涼介にだ、その犯人のことを話したのだ。
「未成年ってことね」
「そうなりますね」
「ええ、ただ現行犯だから」
「もう裁判とかであれこれなることはないですね」
「証拠の凶器も持っていたから」
「確かナイフですよね」
「そう、そのナイフでね」
凶器のそれで、というのだ。
「被害者を後ろから刺して何度も何度も」
「刺して、ですね」
「殺したのよ、通っている予備校の中でね」
「予備校も大変ですね」
「そんな事件があったらね」
「迷惑な話ですよ」
実に、とだ。涼介は顔を顰めさせて言った。
「全く以て」
「そうね、被害者は同じ予備校に通う同じクラスの予備校生よ」
「ああ、顔見知りですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「それも隣同士の席のね」
「仲が悪かったんですか?」
涼介は恵の話を聞いてふとこう考えた。
「それで」
「そうみたいね」
「いじめられていたとか」
「それはこれから調べるわ」
「犯人から聞いて」
「そうするわ、ではいいわね」
「はい、それじゃあ今から」
涼介は恵の言葉に頷いてだ、二人でだった。
その犯人加藤伊知郎がいる取調室に入った、見れば線が細く非常に神経質そうな顔をしている。唇の色も悪い。
しかし目だけが血走っている、その彼にだ。
恵はその向かい側の席に座って聴取を行った、涼介は彼女の横に立って状況を見守っている。
「今日は殺害の動機を聞きたいわ」
「動機ですか」
加藤は何かに怯えた、重度の鬱病患者の様な声で応えた。
「それですか」
「ええ、どうして彼を殺したの?」
「嫌でした」
加藤は恵にすぐに答えた。
「あいつが」
「嫌いだったのね」
「はい」
ありのままだ、加藤はまた答えた。
「そうでした」
「嫌いね、それじゃあね」
恵は加藤のその言葉を冷静に受けた、そのうえで彼に問い返した。
「どういう風に嫌いだったのかしら」
「
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