第三章
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「それをオムレツになの」
「あれっ、かけたね」
「そうね」
「またどうしてなの?」
「いや、だからね」
「考えてじゃないのね」
「ぱっと見たものをね」
テーブルの上に揃えて置かれているだ。
「ケチャップなリソースをね」
「マヨネーズもバターもね」
「かけてるだけだから」
それで、というのだ。
「だからね」
「日本のソールもなのね」
「たまたまだよ」
「日本のウスターソースね」
見れば日本語で色々と書かれている。
「それね」
「さて、どんな味かな」
「日本なら」
ここでこんなことを言ったエレノワールだった。
「お醤油だけれど」
「お醤油は今はないからね」
テーブルにだ、見れば色々な調味料が置かれているがそれはない。
「だからね」
「かけないだけね」
「あったら使ってたかも知れないけれど」
「それでもないから」
「使わないよ」
それだけだというのだ。
「僕もね」
「そういうことね」
「うん、ただオムレツにお醤油は」
「合わないでしょうね」
「僕もそう思うよ」
「私もよ、流石にね」
「合わないね」
オムレツに醤油はというのだ。
「どう考えても」
「ええ、けれどそのおソースは」
「今から確かめるよ」
その舌でというのだ、そして実際にだった。
アンドレはその駝鳥の卵のオムレツ、日本のウスターソースをかけたそれを食べてみた。そしてこう言ったのだった。
「美味しいね」
「おソース合ってるのね」
「それに駝鳥の卵もね」
「ええ、美味しいわね」
エレノワールも同じものを食べている、夫婦で食べる時はいつもお同じものを口にしているから今朝もなのだ。ただ彼女はケチャップをかけている。
「中々」
「そうだね」
「今日は調子いいかしら」
「そうかもね、ただね」
「駝鳥の卵もそのおソースも」
「はじめてだから」
それでというのだ。
「今日はどうなるかわからないよ」
「いいことが起こればいいわね」
「そう思うけれど」
それでもというのだ。
「どっちもはじめてだから」
「どうなるかは」
「うん、わからないよ」
「そういえば今日は編集の人と打ち合わせよね」
「そうだよ」
アンドレはオムレツを食べつつエレノワールに今日の仕事の予定を話した。
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