第二章
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「実際にね」
「オムレツが大好きで」
「うん、オムレツに支配されている」
「そうした人生なのね」
「けれどそうした人生もっていうのね」
「悪くないね」
「まああなたがそう言うのならね」
エレオノールは微笑んでだ、そう言うアンドレに返した。
「それでいいわ」
「そう言ってくれるんだね」
「ええ、じゃあ今朝はどうなの?」
「うん、奇麗なプルーンオムレツでケチャップをかけた」
だからだというのだ。
「今日の僕は機嫌がよくてね」
「私とも仲良くやれる」
「そうした一日になれそうだね」
そして食べる勢いもよかった、即ちだった。
「今日の仕事は好調なものになりそうだね」
「そう、じゃあね」
「頑張るよ」
「ええ、そうしてね」
エレオノールもだ、夫に笑顔で応えた。アンドレはこの日は執筆に励んだ。彼は毎朝オムレツを食べそこから一日を見ていた。
そしてある朝妻がこの日焼いたオムレツを見てだ、こんなことを言った。
「今日はね」
「このオムレツはどう?」
「卵が違うね」
「ええ、普段は鶏の卵よね」
「普通にね」
「実はスーパーで面白い卵が手に入ったのよ」
「面白い?」
「駝鳥のよ」
この鳥の、というのだ。
「駝鳥の卵が売ってたのよ」
「へえ、駝鳥の肉だけじゃなくてだね」
「卵も売ってたのよ」
「かなり大きな卵だね」
「しかも固くてね」
「その卵でなんだ」
「作ったオムレツなのよ」
こう夫に話すのだった。
「今朝のオムレツはね」
「それはまた意外だね」
「はじめてでしょ、駝鳥のオムレツは」
「毎朝オムレツを食べているけれど」
それでもとだ、アンドレは妻に返した。
「駝鳥のオムレツはね」
「食べたことがないわね」
「駝鳥の肉はあるよ」
そちらはというのだ。
「美味しかったよ」
「それでなのよ」
「君も駝鳥食べたね」
「家でも作ったわね」
「うん、その時の話だよ」
アンドレが言うことはというのだ。
「まさにね」
「それが美味しかったから」
「卵も買って」
「それで作ったのよ」
「そうなんだね」
「それじゃあ食べましょう」
「うん、それじゃあ」
ここでだ、アンドレは。
何とだ、その駝鳥のオムレツにだ。
日本のソースをかけた、ウスターソースと言われる彼がお気に入りのソースの一つだ。だがそのソースは。
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