第3話
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「……ですよね」
「という事で、鷺島様と共に行こうと思います」
司馬防の部屋、そこで司馬懿は先ほど決まった、暢介に同行する事を司馬防へ告げる。
「そう、あなたが決めたのなら何も言わないわ。それに……」
「それに?」
「やっとあなたの仕官先が決まったんだから親としてこんなに嬉しい事は無いわ」
「……」
「全くあなたはいつまで経っても仕官先は決まらない。理遠はすぐに決まったというのにね」
また始まったと司馬懿は表情を曇らせる。
仕官先が全然決まらなかった時、ほぼ高確率で司馬防から説教されていた。
「……さてと、久遠。あなたにはもう1つ、大きな親孝行が残ってるわよ」
「?」
「これは理遠にも言ってるんだけどね。早い段階で私に孫の顔を見せなさい」
「孫の顔」
呆気にとられる司馬懿を尻目に司馬防は続ける。
「ええ。勿論永遠達にも、ここを出る時には伝えるつもりよ」
「は、母上」
「まぁ、私も今日明日死ぬつもりは無いけどね」
そこまで言うと司馬防の表情は真剣なものになる。
「久遠。彼の事だけど、彼はまだ、あの経験をしていないわ」
「……人を殺す事……ですね」
「ええ。本人は覚悟をしている様だけど、実際に人を殺してどうなるかは分からないわ」
「……」
「もし人を殺した後、駄目だと思ったら彼を支えてあげなさい」
「分かっています」
「それでも駄目だと思ったなら、ここに戻ってきなさい」
「ここにですか?」
「ええ。男の子1人増えた所で問題ないわ。それに、永遠達も将来的にはここから巣立つ訳だしね」
ただし、そう付け加え司馬防が続ける。
「戻ってくるのは本当に彼が駄目になりそうな場合よ。支えられるなら支える事」
その言葉に司馬懿は頷く。
準備期間というものはあっという間に過ぎてしまうものだ。
学生時代、体育祭だったり文化祭だったり、準備だったり練習をしているとあっという間に本番になっている。
そういう経験は皆もある事だろう。
暢介と司馬懿の2人が旅立つまでの数日間もあっという間であった。
ただし、暢介自身はこの世界に落ちた際に司馬懿が回収したスポーツバック1つだけなので簡単なものであった。
「鷺島さん。本当に良かったんですか? あの球を永遠にあげても」
司馬家の家を出てしばらく歩いた所で司馬懿が暢介に尋ねる。
「あぁ。あれは多人数でやって楽しむものだから……今の俺が持ってるよりも、あの子が持ってる方がね」
「そうですか……」
司馬家を
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