第3話
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司馬懿を探し回っていた暢介が、彼女を見つけたのは彼が司馬防の部屋を出てすぐの事だった。
中庭で夜空を見上げている彼女に、暢介は声をかけようか迷っていたが見終わるのを待った。
待っている間、暢介も視線を空に向ける。
自分がいた場所と比べて、綺麗な星空が見える。
これだけ綺麗な星を見たのは、久しぶりの様な感じがする。
まだ自分が幼稚園に通っていた時の頃。
父親の実家に帰省した際に、夜、家から見た星空もこれぐらい綺麗だった記憶が暢介にはあった。
そんな風な事を考えながら夜空を眺めていると……
「何してるんですか? 鷺島さん?」
と、声をかけられ、暢介は視線を夜空から声の主の方へと移した。
司馬懿は先ほどまでいた位置から暢介の目の前に来ており、見上げる形で見ていた。
「あぁ、司馬懿を探してたんだ」
「僕を? どうしてですか?」
「それが……」
そこで暢介は自分が、ここから旅立つ事。
宛ては無く、誰かに仕えるのか、自ら立つのかそれも不明。
それでも、自分がここに来た事に何か理由があるはずで、それを見つけたい。
そして、その旅に同行して欲しいという事を伝える。
話を聞き、考え込む司馬懿を見ながら暢介の頭の中はどうやって説得しようか考えていた。
(さてと……彼女をどう説得すればOKを出してもらえるんだろうか……)
彼女の様なタイプを説得するなら、自分と一緒ならこういう事があるという方法は上手くいきそうにない。
逆に『俺についてこい』ぐらいの勢いで迫った方がいいんじゃなかろうかとも思ったが。
(それじゃあ、本当に結婚とかを迫る男になるぞ)
そう悩んでいる暢介に、司馬懿は。
「分かりました。共に行きましょう」
と、軽く答えた。
「そうか来てくれ……え? 来るの?」
「ええ」
当然と言わんばかりに頷く司馬懿に、暢介は目をぱちくりする。
これから、説得を行おうとしていたのに相手が了承した為、暢介は少し混乱していた。
「えっと……何で?」
と、了承した相手に失礼な質問をしている。
「何で……単純に興味がある。それでは駄目でしょうか?」
「興味か……駄目って事は無いし、元々俺から頼んだ事だし正直ホッとしてるよ」
ホッとする暢介に司馬懿は何かを思い出した様に口を開く。
「母上には僕の方から伝えておきますね。鷺島様は部屋に戻って旅立つ準備を」
「あぁ、分かった……ん? ねぇ司馬懿。俺は明日出るとは言ってない気が」
暢介の言葉に司馬懿は少し呆れ顔になる。
「準備が一日で終わると? 数日は考えておいてください」
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