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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
50.第一地獄・千々乱界
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ら重心が左足に傾いたな。翼でバランスを取りながら体勢を立て直そうとするのだろうが……させてやらんぞ、デカブツ)

 オーネストは手でユグーに簡単なサインを飛ばし、ユグーはすぐさまその意味を理解する。直後、二人の目の前に竜の首が叩きつけられ、岩盤と衝撃波の津波が押し寄せた。が、オーネストはそれに負けぬ威力の震脚で更に岩盤を砕いて相殺し、ユグーは振り翳した両腕を地面に叩きつけてオーネストと同じように力を相殺する。激化の一途を辿る攻撃の中で既に黒竜周辺の地面は粉々に砕け、人間ほどの大きさがある岩盤がそこかしこに散らばっていた。

 一瞬の隙。加えて、首の叩きつけによって重心が更に前へ偏った。
 それとまったく同刻に――オーネストとユグーに気を取られ過ぎた黒竜の左羽根の付け根に、夥しい量の鎖が巻きついて後方に引き摺った。こんなバカげた質量の敵を相手に投げ縄のような力技をかましているのは、『死望忌願』をフルに活用した本気のアズだ。

「大漁だ大漁だぁぁーーーッ!!もしかして俺の鎖って漁師向きなんじゃねッ!?」
(最高のタイミングだ、悪友。そして、リージュもな)
「――凍てつけ(ヘイル)氷造(アイスメイク)降り注ぐ楔(フォールウェージ)……堕ちろッ!!」

 間髪入れず、上空に巨大な氷柱が無数に降り注ぐ。柱一つが直径5M近くある処刑の楔は、本来ならば黒竜の翼や首を利用してあっさりと弾かれていたろうが、瞬間的に多くの行動を求められて体をバラバラに動かした黒竜は、今、この瞬間だけは氷柱を回避できない。
 そして、いくら黒竜が驚異的な力を有していても、高高度で形成されて魔力と重力加速、そして氷そのものの質量を加算した氷柱の連続攻撃は否応なしに体が揺さぶられる。まるで神罰が下るが如く降り注いだ氷柱たちが黒竜の尾と左の羽へと重点的に降り注ぎ、その数発は翼の防御力が低い部分に突き刺さり――黒竜の血液と共に凍結して刺さったまま停止した。更に重心が崩れる。こうなってしまえば、後は楽な仕事だ。

「我ガ一撃、この命続ク限リ無窮なり――ッオオオオオオアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「今日は黒竜(おまえ)に言いたいことがあってな。まず、話を聞く前に頭を垂れて跪け――ッ!!」

 鼓膜を突き破らんばかりの咆哮を上げて突き出されたユグーの拳と、珍しく両手で剣を握りしめたオーネストのフルスイングの剣が、重心の偏った黒竜の左足首に同時に叩き込まれた。

 瞬間、黒竜の放った『真空の爆弾』を遙かに超えた轟音と衝撃が、黒竜自身の脚を弾き飛ばした。

『グロロロアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?』

 不気味なほどゆっくりに、されど恐るべき速度で、黒竜の巨体が地面に叩きつけられた。
 黒竜の眼が、転倒の瞬間に既に黒竜に新たな攻
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