50.第一地獄・千々乱界
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、目線の先で生死を競う争いの場に自分が参加できない惨めさが、ココをどうしようもなく蝕んだ。
しかし。
「自分がいれば結果は変わってた、ってか?」
「結果はあんまり変わんないよ。過程が変わってただけ……」
そう、結果は変わらない。
「オーネストはいつだって生き残るもん。今回も勝つに決まってる。だってオーネストだもん」
「……だな、オーネストだしな。アイツの問題は大体その一言で片付くよな」
「ついでにアズもいるしぃ、リージュちゃんもいるしぃ、バカのユグーもいるし!何とかなるっしょ!あ、ホラ!なんか反撃開始みたいよ?」
気楽に笑うキャロラインの指さした先で、反撃の狼煙が立ち上る。
= =
オーネストは考える。黒竜は4足歩行だ。その足から繰り出されるメガトン級の蹴りはそれだけで脅威だし、前足の爪も岩盤をフルーツカットでもするようにスライスする。おまけに頭のスナップを効かせた攻撃に、尻尾も超特大の鞭となっている。上下左右どの方向から攻めても隙など存在しない。
だが竜の骨格と長時間飛行を行えない事を考えれば、黒竜の重心が後ろ足の方に存在するのが理解できる。後ろ足を固定させることが出来れば、他の部位より大きく動きを制限することが可能だ。それを実現させる方法は――他人を利用する事。
「アズ、リージュ。お前ら俺の言うとおりに連携しろ」
「ええっ!黒のっぽと!?ヤだけどアキ君の頼みならいいよ!!」
「ヤなのかよ!!いや別に協力してくれるんならいいんだけれどもっ!!」
口から血を垂らして尚漫才をする余裕がある悪友に若干の呆れを感じる。人のことをどうこう言っている割には自分だって相当いかれている事に自覚が薄いのか、或いはそんな些細なことは気にしていないのかもしれない。アズライールという男はどうもそのさじ加減が曖昧な男だ。
二人に手早く作戦を伝えると、オーネストは自らの作戦の後詰をするために黒竜に挑み続けるユグーに近づく。吹き荒れる猛烈な衝撃波に自分の剣から発した衝撃波を連続でぶつけ、力づくで移動するための道を作る。こうでもしなければ体が何度吹き飛ばされるか分かったものではない。
ユグーは既に全身を傷付けられていたが、その動きはむしろ段々と速く、鋭く変貌していた。
からくりそのものは簡単だ。世の中には自分が傷付くほどに力を発揮するスキルが存在する。『狂化招乱』しかり、『大熱闘』しかり、オーネスト自身もその手のスキルは人一倍持っている。しかしオーネストのスキルが複合的に発動するのに対し、ユグーはたった一つのレアスキルによってその力を強めている。
『尽生賛歌』。
ユグーにとって、戦いという
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