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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
50.第一地獄・千々乱界
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 掲げた覚悟と矛先は、全てあの化物へ。化物より化物らしいと恐れられた俺達なんかより余程な、世界に立った三匹の本物の怪物の一柱へと向いていた。どいつもこいつも正気じゃない、沙汰から外れた思惑を胸に抱き、立ち上がる。

「アキくんの未来のために、この身体から肉が削げ落ちようとも命を貰うッ!!」
「戦い!!戦いィ!!そうだ、貴様か!!貴様が俺ノ求メル至高そのものか!!ならば殺そう!!殺されよう!!生命を貪ルようにィッ!!」

 我らが闘志、未だ消えず。

 我らが勝機、未だ見えず。

 答えのない無限の世界を地獄と呼ぶのなら、ここを第一地獄・千々乱界と呼び畏れよう。

 再び黒竜の尾が振るわれたとき、その場にいる全員の身体が宙を舞っていた。



 = =



 目の前で繰り広げられている戦いは、果たして本当に人間の概念で「戦い」と同じものなのだろうか。少なくとも、ココの知る戦いという行為からは、その光景は逸脱しているとしか思えなかった。あらゆる出来事の規模が桁外れに大きく、全ての選択が刹那的で、勝機らしいものなど碌に見えない。戦士としての感覚が、全く眼の先の光景に付いて行けなかった。

 ココは、この戦いを本気で手伝う気だった。

 単純にスキタイの戦士としてそうしたかったし、スキタイの戦士ではないココという一人の女としても、オーネストの敵を共に屠るつもりだった。これほど深層に潜る経験はさしものココも指で数える程しか経験がないが、これまでオーネストと共に戦って息が合わなかったことはなかったのだ。だから、もしオーネストに並ぶ人間がいるなら、それは自分に違いないと思っていた。

「………サイッテー」

 蜂蜜以上に甘ったるい自身の勘違いが余りにも愚かしくて、吐き捨てるように自分を下卑した。あの光景を見れば、少し前にリージュと無理に張り合おうとしていた自分がどれほど滑稽だったのかが理解できる。
 栄えあるスキタイの若き天才剣士、ココ・バシレイオスには、まだあの凄まじい衝撃が吹き荒れる滅裂空間で生き延びる為の術が存在しない。アズは「君が駄目なんじゃない」等と気を利かせたことをのたまっていたが、今のココには自分こそが駄目な存在にしか思えなかった。

『むぐぅ……コレ、ケッカイしてなかったらアタシたちフッ飛んでるんじゃない?』
『怖ろしき攻撃よ……拙者の第二の術、『奇魂(くしみたま)』の相殺結界を揺るがすなど並大抵ではござらん。至近距離ではひとたまりもない』
「――想像以上にマズイね、こりゃ」

 風圧を手で防ぎながら、ヴェルトールが普段の姿からは想像もつかない程真剣みを帯びた声で呟く。
 安全圏から様子を伺っていたメンバーの先頭では杖を構えたウォノが魔法結界を張ることで戦いの余波を受け流してい
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