我が身を滅ぼすために
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椅子からゆっくりと立ち上がり、四人の竜の元へと歩み寄ってくるマルド・ギール。彼は四人の真正面にまで来ると、そこに立ち止まる。
「そしてゼレフを倒す。それが我々の願いであり、ゼレフの願いでもある」
自分たちの目的を話し終えたマルド・ギールは、不敵な笑みを浮かべていた。だが、それを聞いたスティングたちは苛立っているように見える。
「ゼレフを倒すための戦い?」
「そんなよくわかんねぇことに、人間を巻き込みやがって!!」
彼らの怒りはもっともなこと。だが、マルド・ギールは相手が理解できないことなどわかりきっていたからか、鼻で笑いながら地面から荊を数本生成する。
「君たちは目的地まで向かうとき、道端の雑草をわざわざ避けて歩くかね?」
「てめぇ・・・」
「いや、避けろよ」
自分たちを雑草と同じ扱いにするマルド・ギールをきつく睨み付けるスティングと冷たい視線を送るグラシアン。そんな彼らに、目に止まらぬほどの速さでマルド・ギールの荊が絡み付いてきた。
「「「うわぁぁぁぁ!!」」」
「スティング!!ローグ!!グラシアン!!うわっ!!」
一瞬のうちに後方に飛ばされたスティングたちに視線を向けたナツ。だが、敵はその一瞬の隙を見落とさず、ナツも同じようにホールドする。
「ナツさん!!」
「くっ・・・」
「動けねぇ・・・」
自分たちの体ほどの太さのある荊に縛られ、苦痛に顔を歪める三大竜。彼らの視線の先にいるナツに、巨大な蕾が出現する。
「なんだこれは!?」
人一人を軽く飲み込めるほどの大きさの蕾。ナツはそれを前に驚愕している。
「冥府に咲く、監獄の花」
悪魔はそう言って手を動かすと、目の前の竜目掛け、一直線にそれが向かっていく。
「クソッ・・・」
「抜けられねぇ・・・」
「ナツさん!!避けろ!!」
ナツを助けようにも動くことのできないスティングは、声を張り上げることしかできない。だが、ナツも彼らと同様に捕まってしまっており、逃げることはできそうにない。
「この・・・」
懸命に荊から逃げようともがくナツ。しかしそれは人間の力では逃れることなどできず、彼の目の前に巨大な花は迫ってきていた。
ナツが押し潰される。そう思った瞬間、その場に立っていることもままならないほどの強風が吹き、水と風の魔力が、彼らを捕らえる荊を粉々に切り裂いた。
「水と・・・風?」
どこからその攻撃がやってきたのかわからぬナツと、突然自らの呪法を防がれ目を見開くマルド・ギール。しかも彼の左腕は、いつの間にか薄い桃色の氷によって凍らされていた。
パサッ
次々に何かが起こり、事態を理解しきれないナツに、ドラゴンの鱗のような模様の白いマフラーがかけられる。
「これ
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