我が身を滅ぼすために
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ルの声に返事が返ってこない。
「はぁ、やれやれ。マルド・ギールの声を忘れるほど、夢中になっているな。だが、仕事はしているみたいだ」
呆れたようにため息をついた後、役割を果たしているために見逃そうと考えたマルド・ギール。そんな彼に、スティングはある疑問を投げ掛ける。
「あんた、大陸中の魔力を消して、何がしてぇんだ?」
「おや、言ってなかったかな?」
大陸の魔力を消滅させる兵器フェイス。それを使用しようと動いている冥府の門の行動が、スティングたちには理解できていなかった。
「魔力が消えることで、ENDの封印が解かれるのだよ」
「あの本か」
ナツの育ての親であるイグニールが破壊できなかった悪魔、END。マルド・ギールが大事に抱えていた本が、そのENDなのである。
「今はあのような姿だが、ENDは冥府の門のマスターにして、ゼレフ書最強の悪魔。ENDが復活することで、我々はゼレフの元にいける」
「何言ってんだ?」
「意味わかんねぇ」
「解せんな。行きたければ、お前一人でもいけばいいだろう」
マルド・ギールの話を聞き、ローグがもっともな意見を述べる。彼の言う通り、ゼレフの元に行きたければ自由にいけばいい。だが、それをしないのにはきちんとした理由があった。
「ドラゴンの子と言っても所詮は人間。理解するのは難しいか」
「っんだとコラ」
一度笑みを見せた後、四人を挑発するような発言をするマルド・ギール。彼は続けて言葉を紡ぐ。
「ゼレフがなぜ、我々を創造したのか、考えてみたことはあるかね?」
マルド・ギールが何を言っているのかわからず、次に続く言葉を待つ四人。それに対し、マルド・ギールは変わらぬ態度で話を続ける。
「我が部下たちは、誰一人として気付いていないがね。我々エーテリアスには、ゼレフの元に帰るという強い脅迫観念のようなものがある。
遺伝子レベルの命令なのだ。『ゼレフの元に帰る』『ゼレフに会いたい』『ゼレフのため』これらの感情・・・これはすべて一つの真実に帰結する」
なかなか真実にたどり着かないマルド・ギールの話を、ナツたちはただ黙って聞いている。
「ゼレフは不老不死になった自らを呪い、死にたいと願った。その行き着いた先が、自分を殺せる存在の創造。
ゼレフを殺すために生まれしもの、それが、ゼレフ書の悪魔」
ようやく語られた真実。それを聞いたナツは驚き、ただ呆然としている。
「ENDは、その最高傑作だった。だが、何があったのか再びこうして本の中に封じられてしまった。この魔力溢れるアースランドにおいて、絶対に解かれることのない封印によって。
しかし、その封印もフェイスによって、大陸中の魔力が失われる時に解け、ENDは復活する」
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