15話
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か? まぁ、他のみんなが貴重な時間を割いて祝ってくれたのは純粋に嬉しかったけど。多分食堂の許可を取ったり、飾り付けの準備なんかも考えたら1日2日で出来るわけじゃないんだから無下にするのもおかしい。
「楽しいかはともかく、嬉しかったさ。自分の為に時間を割いてくれたんだから悪い顔なんて出来るわけないだろ。お前は自分を祝ってくれる人がいるのに、楽しそうな顔じゃなくて迷惑そうな顔ができるのかよ」
1度ノートパソコンから視線を切って箒に振り向きながらそういった。
「ふん……。そもそも頼んだわけじゃないのだから、どんな顔をしても文句はないだろう」
その物言いにカチンと来たが無視する。感情だって制御できるようにしなくちゃいけないんだったな。怒りは視界を狭くするって教えてくれた。箒の性格も考えたらさっさと切り上げるのが正解だ。
「そうかよ。じゃあ俺はまだ考えたいことがあるから先に寝ててくれ」
俺はそのままヘッドホンを付けて音を漏らさないようにし、画面に向き直った。きっと、ここに自分が強くなるためのヒントが眠っているなら、この程度の眠気なんてへっちゃらだ。
俺は千冬姉の名を、千冬姉を守るって言ったんだから。絶対に強くなってやる。
そう思って画面に集中し始めた頃、後ろから柔らかい物体が直撃した。
「箒、何しやがる!?」
思わず声を荒げてしまったがこれくらいは許して欲しい。飛んできた柔らかい物体、枕を全力で投げ返しそうになった。
「い、今から着替えるのだから部屋から出て行ってくれ!」
箒との同室生活も少し経ったが、なんで箒は俺が部屋にいるときに寝巻きに着替えようとするのか。空気読んで風呂に入ったり、部屋から出て行ったりしているのに。……アホみたいな話だけど箒は着替えを見られたいのだろうか?
そんなことを考え、自分に失笑する。それじゃ、まるで箒が俺のことを好きみたいじゃないか。
「箒、前から言っているけど着替えは俺が席を外しているときにしてくれよ」
俺のその言葉に箒から鋭い視線が飛んでくる。その視線に俺は肩をすくめて立ち上がり、ドアに足を運ぶ。
ガチャ、とドアを開けてそのまま部屋から出ようとした。
「じゃあ10分くらいで戻ってくるから」
「あ、あぁ」
正直、箒の着替えの時はあまり部屋に居たくはなかった。その時の沈黙が妙に長く感じるし、着替えの際の衣擦れの音が異様に気になってしまう。
ドアを閉めた後はそのままドアに背中を預ける。
『e-Sportsに救われた人間もいればISによって救われた人もいる』。鬼一の言葉が脳裏に思い浮かんだ。
あの言葉はあまりにも衝撃的な言葉だった。
『救い』。俺はそんなことを考えたこともなかった。た
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