暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
15話
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に関わらせたくなかったのに、結果としてIS、あの子は日本の代表候補生に収まってしまった。人並み以上の才能を持っていたのも原因だと思う。虫唾が走ることに、それを利用されてしまったのは、当時の私に力がなかったことのが全てだ。もしこれから、大きな争いが起きればあの子が前線に出る可能性は充分にある。あの子の立場が逃走を許さない。そんな状況になったら私が止めれるかは分からない。

 ―――無能なままで、いなさいな。

 過去の自分を笑いたくなってしまう。結局、私が行ったことは無駄だったのだ。色々考えてそれが最善だと思ったのに、私があの子に与えたのは痛みと傷でしかなかった。今もあの子の足を引っ張り、もしかしたら、これからずっとそうなのかもしれない。
 ……私は簪ちゃんにはもっと素直に、もっと違った愛情を与えられたような気がした。今となっては取り返しがつくわけでもないけど。

 目の前の少年に話したらどんな言葉が返ってくるのか、ちょっとだけ気になった。

―――――――――

 ゆらゆらと意識が底に沈んでいく。何もない暗闇の中、僕はゆっくりとそれに従う。何もない空間だがとても心地よく感じられる。

 IS学園での出来事とe-Sportsでの出来事が流れていった。思い出の海に流されていきながら、強烈な違和感に襲われる。なんで今になってこんな気持ちを抱くのかは分からない。だけど、あまりにも不自然だった。
 あまりにも、あまりにも穴が多かったのだ。特に『それ以前』の出来事は何も残っていなかった。e-Sportsとそれ以前の出来事には見えない境界線があるようにも思えた。

 振り返ると、僕が歩いてきた道にはなにもないような気がした。たくさんのものを得たはずなのに、それに喜びを抱けたはずなのに。まるで僕が本当はそれらを必要としていない、とそんな馬鹿なことを考えてしまう。違う、僕はそれを望んで戦ってきたはずだ。あの境界線の向こう側には僕にとって何もない。僕が向かう必要はない場所だ。

 それだけは間違いなはずがない。

 流されて流されて、僕はその境界線の上にまでたどり着いた。境界線を見て1度視線を前に向ける。僕を否定しかねない何かがあるその闇。何も無いと思っているのに、なぜか強烈に引き寄せられるような感覚がある。なんだろう、この感覚は。

 この『僕自身がそこにいる』ような感覚。僕は僕でしかないのに。

 思わず右足が浮いていた。

 特別何かを考えているわけではなかった。ただ、無意識の内にその右足を境界線の向こうに踏み出していた。

 次の瞬間、僕が見たことのない場所に放り出されていた。……どこだ、ここは?

 冷たい風が僕に突き刺さる。まるで僕を否定するかのようにだ。
 空には満ち溢れるほとの星たちとその中心にある青
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