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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第三十六話その2 アンネローゼ様誘拐を阻止します。
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のれ・・・・このようなことになろうとは!だが、邪魔立てはさせぬぞ」
男は何かをかみ砕くように口をかみしめた。
「飲み込ませないで!!」
ヴァリエがとっさに叫び、男の両脇を固めていた男たちが口をこじ開けようとしたが、無駄であった。数秒後男はこと切れ、左手を握りしめたまま床に倒れ込んだ。
「口に仕込んだ毒を嚥下したのか・・・・」
ヴァリエは忌々しそうにつぶやいたが、不意に視線が男の左手に注がれた。表情がはっと変わる。
「退避!!全員この山荘から退避!!」
ヴァリエの叫びにレイン・フェリルもアンネローゼも侍女も男たちに抱えられるようにして一斉に走り出し、山荘を飛び出した。その直後強烈な熱風と爆音が一行の背中を襲い、宙を飛んだ一同は頭からスライディングして突っ伏した。
「くそ!」
ヴァリエが顔を上げて振り返る。轟音と共に山荘は火に包まれていた。
「爆破装置が仕掛けてあったとは・・・・これで証拠はなくなりましたね」
レイン・フェリルがつぶやいた。
「せめて襲撃を受けた護衛の車や死者を回収するしかないか・・・」
ヴァリエがつぶやいたが、これはいささか遅きに過ぎた。というのは、現場に戻ってみると、護衛の車の残骸も、死体も、まるで最初からなかったかのように消え失せていたのである。
「敵は相当な手練れね。痕跡一つ残さずに消えるなんて・・・・」
ヴァリエが悔しげに唇をゆがませた。
「でも、このままでは済まさないわ」
ヴァリエとレイン・フェリルに護衛されたアンネローゼはレイン・フェリルが用意した車に搭乗し、一路オーディンに引き返すこととなった。
引き返してきたアンネローゼたちと対面したリヒテンラーデ侯爵は驚きもし、かついぶかしんで問い詰めたが、彼女たちから山荘の襲撃の模様を聞くと、すぐさま部下たちを派遣して調査に当たらせた。
ほどなくして山荘が火災にあってほぼ全焼していること(それも爆弾で吹き飛ばされていたとのこと。)、付近にて護衛に当たっていた部下のうち数人の遺体が発見されたとの報告が入ってきた。リヒテンラーデ侯爵は事態の重要性を察知しアンネローゼに口外しないように言い渡すと、すぐさま皇帝に拝謁し、事情を説明した。ケルリッヒ宮内尚書も呼ばれ、彼は蹌踉とした足取りで黒真珠の間に入っていった。
三人の間にどのような取り決めがあったかはわからない。ただ、これ以降アンネローゼはノイエ・サンスーシの広大な敷地の中に館を立ててもらい、宮廷内の寵姫たちの居住する部屋から移ることとなった。彼女はそこに侍女や護衛たちと暮らすこととなったのである。
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