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第三十六話その2 アンネローゼ様誘拐を阻止します。
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た。既に回していた車にアンネローゼと侍女を乗せると、急発進し、市街と反対方向に走り出したのである。
アンネローゼと侍女には目隠しがされていた。どこをどう走ったのかわからない。どれくらいたったのか、急に車が止まり、アンネローゼは手を取られ、車外に連れ出されていた。
「もうしばらくの御辛抱です」
男とも女ともつかない声がアンネローゼの耳に入った。彼女は腕を取られるようにして一歩一歩進み、最後は10段ほどの階段を上った。ガチャリとノブが回される音がして、アンネローゼは中に導かれたのである。
アンネローゼから目隠しが外された。一緒に立っている侍女も同様である。二人が連れ込まれたのは、簡素な山荘の一階ロビーだった。入り口わきには居間があり、二人はそこに押し込まれた。正面には火の消えた暖炉があり、暖炉の上には風景画がかかっている。このあたりを描いたものであろうか。山岳部には雪がかかっており数頭の馬が草を食んでいる様相が描かれている。暖炉の両脇には座り心地のよさそうな肘掛椅子が2脚。そしてこちらに背を向けてソファーが一脚暖炉と向かい合っている。そのソファーには一人の軍服を着た者が座っていた。右手には窓があった。あければそのままテラスに出れるようになっており、先ほど乗ってきた黒い車が止まっているのが眼下に見えた。
「あなたは?」
「私の名前などどうでもいい」
軍服を着た男はぴしゃりとアンネローゼの言葉を封じた。
「ここに連れてこられた以上はあなたもうすうすは感じていることでしょう。あなたには死んでもらう。それを欲している方がいらっしゃるのでね」
「・・・・・・・」
「あなたにはどこぞの知らぬ男と密通をした情婦という役を演じてもらうことになっている。だが、すぐには殺さない。あなたの死にざまをご覧になりたいというさるお方がここにきてからだ」
「それは、誰なのです?」
「来ればわかるさ。だが、その前にあなたには眠っていてもらおうか」
男はソファーから立ち上がり、一本の注射器を取り出した。
「即効性のあるモルヒネだ。重篤な薬物中毒を出すほどのな。私も念には念を入れておきたいのでね」
アンネローゼは一歩下がったが、すぐに控えていた男たちに抱き留められてしまった。
「おやめくださいまし!おやめ――!」
侍女が叫ぼうとしたが、男たちの平手打ちをくらって、床に崩れ落ちてしまう。
「なんということを!やめなさい!」
アンネローゼの叱責に、
「黙っていれば危害を加えようとはしない。それを実演してやったまでさ」
アンネローゼに対峙した男は30代半ばと言ったところだった。特徴のない軍隊風にカットした黒髪。能面のような顔には表情一つない。だが、その仮面のような顔の下にはどす黒い火がともっ
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