暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の裏側世界(リバースワールド)
first contact
ep.014 決戦5
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
的場は階段を上る。
ここまで既に4人のstudentのメンバーを突破している。
そして階段を上り切ると、そこには1人の少年が待っていた。

「やぁ、的場聖持くん。 僕の名前は"池野操作(いけの そうさく)"、君を止める次の相手だ。」

池野は右手に花柄の模様の入った小刀を持っていた。

「これが気になるのかい?」

池野は的場の視線を感じ取り、小刀を的場に見せる。
小刀の長さは日本刀の半分くらいで、鞘から抜かれたその刀身は青白い輝きを見せ、薄っすらと冷気すら感じさせる。

「これは無名の刀でね。 僕のために箱部さんが研いでくれたとびきりの刀なんだ。 だから名前をつけるなら"氷刀・鈴花(ひょうとう・すずばな)"かな。」

まさに、その刀に相応しい名前だ。
的場ももう自己紹介をしなくても自分のことを知っていると考え、静かに戦闘態勢に入る。

先手を打ったのは池野だった。
池野は箱部同様、完全に気配をコントロールしていて、出会ってすぐに感じた異常な殺気は、驚くほど感じ取れなくなっていた。
しかし、視界で捉えることはできている。
池野は逆手に持った小刀を的場に振りかざす。
的場は体をずらすことでその刀身をかわした......
はずだったが、的場の右腕には斬撃の跡が入る。

「どういうことだ。 完全に避けきったのに......。」

的場が池野の方を見ると、池野は頭に人差し指を当てて的場を挑発するような態度を見せる。
次は的場が池野に攻撃を仕掛ける。
姿勢を低くし、地を蹴り、風すら切り裂きそうな速度で池野の懐に飛び込み、アッパーからの空中での回し蹴りを繰り出す。

「...........フフ.....。」

「............ッ!!!」

的場は異変に気付き、池野と距離をとる。
的場の攻撃は当たるどころか、何かに触れた感覚すら感じなかったにも関わらず、池野は確かにさっきと全く変わらない位置に立っていた。

『まさか......これがいわゆる幻術ってやつなのか。』

自分は既に相手の手の内にはまってしまっている。
的場がそう理解した途端に池野が話し出した。

「さすが的場くんだね。 これをすると相手は死ぬまで答えに気付かなかったりするんだよ。」

"死ぬまで"。
その言葉に的場の背筋が少し涼しくなった。

「安心して構わないよ。 君が見ている僕以外は、すべて実際のものだからね。」

「"僕以外"?」

的場の様子を見て池野は先ほどと同じように人差し指を頭に当てる。

「僕が君にしていることは、"認識のズレ"。 つまり君は僕を見ているようで見ていないんだよ。」

"認識のズレ"。
的場は池野の虚像を池野だと認識させられていた。
そのため、的場の
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ