第三章
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「出来るかもだが」
「しかしだ」
「ああ、それではだな」
「手を使う、それに拙者はだ」
「手裏剣はだな」
「使わぬし興味もない」
その友人にこう言うのだった。
「あくまで剣だ」
「貴殿の技はな」
「だからだ」
それでというのだ。
「手裏剣も他の技も使わぬ」
「あくまで剣か」
「それを使うか」
「しかしだ」
それでもとだ、また言った彼だった。
「刀も手も使わぬとなると」
「一体どうするのか」
「それがわからぬか」
「それでどうして雷を切るのか」
「そのことが」
「どうしてもな、それで切るとなると」
その雷をだ。
「わからぬ、しかしな」
「どうしてもだな」
「雷を切りたい」
「そうなのだな」
「道雪殿の様にな」
ここでも彼の名を出すのだった、蕎麦を噛まずにそのまま飲み込んで喉で蕎麦の喉越しを楽しみながら。
「そうしたいのだが」
「あの方は刀で切ったぞ」
「その名刀雷切でな」
「それで足腰が動かなくなったが」
「そうしてはならぬ」
「それが貴殿の師の言葉じゃな」
「そうだ、どういうことか」
また言う彼だった。
「本当にわからぬ」
「ううむ、そう言われるとな」
「我々もな」
「どうしてもわからぬ」
「刀も手も使うなと言われると」
どうしてもと話すのだった、そしてだった。
誰もがだ、彼にこう言った。
「修行を続けろと言われたのだな」
「お師匠殿に」
「剣のそれを」
「そうだ、そう言われた」
是非にと言うのだった。
「確かにな」
「では剣の修行をするしかないか」
「これまで通り」
「そうするか」
「いや、そうしてもだ」
それでもとだ、また言った彼だった。
「わかるのだろうな」
「しかし修行を続けるしかないだろう」
「さしあたってはな」
「今で足りないならこれまで以上に鍛錬を増やすか」
「そうするか」
「そうだな、これまでの二倍三倍と鍛錬をするか」
ここでだ、岩田もこう言った。
「そうすればわかるか」
「そうだな」
「結局はそれしかないな」
「鍛錬あるのみ」
「それしかないな」
友人達もこう言う、そしてだった。
岩田は実際にこれまでの二倍三倍と鍛錬を増やした。それはもう寝る間も惜しんでだった。日々励むものだった。
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