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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第三十六話 第三の「民間転生者」と対面です。
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ていない。
「はい」
「卿の兄上であるファーレンハイト少佐は、自由惑星同盟に亡命しているのだそうだな」
アリシア・フォン・ファーレンハイトは今年16歳、前世でフィオーナらと同じ騎士団に所属していた転生者であるが、どうしたはずみか、ファーレンハイトと同じ家に生まれてしまったのだ。そして、カロリーネ皇女亡命事件では、その侍従武官としてファーレンハイトも一緒に亡命していることが判明してから、彼女に対する風当たりはにわかに強くなった。
そんな折だった。今目の前にいる主が彼女を引き取って私設艦隊の幕僚に任命してくれたのは。だから主には恩義がある。それはわかっている。わかっているのだが・・・。
「・・・・はい」
「儂の一族の中の忘れ形見の後見人となってかの地に赴くことは、できるか?」
アリシアの中に怒りが再び渦巻き始めた。民衆を犠牲にしようとする中を、バーベッヒ侯爵は一門を生きたまま逃がそうとしている。
「あえて言いますが、無理でしょう。帝国軍はこうなることを見越して、イゼルローン回廊を封鎖するでしょう。フェザーン回廊については、商船の問題上多少はましでしょうけれど、それも絶対安全とは言えません」
彼女は平板な声を出そうとしたが、どこか冷たい調子になるのを止められなかった。老侯爵はじいっとアリシアを見つめていた。アリシアも胆力があったのだが、ついにその視線にうち負けて、俯いた。銀髪の前髪の中に一筋の黒髪が混じっているが、それがかすかに揺れていた。
「そうか。それはそうじゃな。考えてみれば、一門が儂に殉じる覚悟をしておる中で、忘れ形見を逃がそうとしていることを知れば、背信行為と言われかねぬからな」
「閣下・・・・!」
「いや、言わんでもいい。アリシア、すまぬな」
「閣下が謝られることなど、ありません。私が――」
「もうよい。出処進退は卿の好きにするがいい」
バーベッヒ侯爵はアリシアに背を向けた。話は終わったという態度である。彼の背中には何の感情もあふれていなかった。すべてをあきらめ、すべてを受け入れようとしているのか、それとも、一発逆転の秘策でも秘めているのか、考えることを諦めてしまったか――。
アリシアは物言わぬその背中に一礼して、老侯爵の部屋を退出した。
「・・・・・・・」
歩きながら彼女は考えていた。自分がこの現世に舞い戻ってきたのは、いずれラインハルト・フォン・ローエングラム公の覇道を助けることにある。現に女性士官学校に入校したのはそのためだ。だが、運命は彼女をバーベッヒ侯爵のもとに運んでしまった。ラインハルトの敵になろう人に。
アリシアはと息を吐いた。兄さえ、いや、ファーレンハイトさえ亡命しなかったらこんなことにならなかったのだがと思うのだ。だが、そういう矜持こそファー
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