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第三十六話 第三の「民間転生者」と対面です。
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る。あの時は特務としか言われず、詳細も一切なかった。今改めてミューゼル准将が明かしてくれたことを聞くと、(むろん断片的にではあるが)どれだけ危険を潜り抜けてきたのかがよくわかった。まだ20にもなっていないのに、一艦を良く指揮し、任務を全うして帰還できるなど並大抵の艦長ではできない仕事だ。この方と知己になれて良かったと思う。この間サイオキシン麻薬の捜査関係で、ロイエンタール少佐に会った時にもかなり衝撃を受けたのだが、ミューゼル准将はそれ以上の力量の持ち主だ。
 そして、気になるのはバーベッヒ侯爵討伐の任がランディール侯爵家のご息女に任されたという件だ。貴族令嬢にそのような艦隊の指揮などできるのだろうか。そう思っていたらなんとミューゼル准将の幼馴染だという。驚いた。同じ貴族と言ってもミューゼル准将は無爵、対するランディール侯爵家とは格が違うではないか。だが、ミューゼル准将はランディール侯爵家の家柄ではなく、ご息女その人の力量を買っておられるらしい。
 ミューゼル准将ほどの方が評価するご息女、いったいどのような方なのだろう。



* * * * *
 シャンタウ星域のバーベッヒ侯爵領には、一門の艦隊が続々と集結していた。その中にあって、ひときわ若い、銀髪をうなじの後ろで結んだ女性士官が広大なバーベッヒ侯爵館の侯爵居室内、老侯爵の前に立っていた。この時、アレーナやイルーナ、フィオーナやティアナが居合わせたら、きっと驚いたに違いない。

「アリシアよ」

 そう呼ばれた女性もまた、前世をアレーナたちと同じくする、転生者だったからだ。

「はい。閣下」
「閣下はよいじゃろう。どうせ間もなく爵位をはく奪され、一門もろとも追放か処刑の憂き目にあう老人じゃ」

 老侯爵は自嘲気味に低く笑った。

「でしたら、せめて貴族として潔い進退をなさるべきでは――」
「無駄じゃよ」

 老侯爵は一蹴した。

「儂がそう望んでも一門がそうは思わん。あれはどうしようもない事故なのだとたきつける者がいるのでな」
「では、一門の意地だけで、何十万という生命がこれから消えていくわけですね」

 アリシアが皮肉交じりに言う。老侯爵に対し物が言えるアリシアは老侯爵とどのような関係なのだろうかとアレーナなら思っただろう。

「そうじゃな。これも我が領内に生を受けたゆえ。諦めてほしいと願うばかりじゃの」

 淡々とそういう老侯爵にアリシアは一瞬怒りを抑えきれなかった。彼女自身銀河英雄伝説を読んだことがあるが、こうして今現実のものとして対峙している貴族もやはり民衆の生命を一顧だにしない人だったのだ。

「アリシア・フォン・ファーレンハイト中尉」

 女性軍属にはフロイレインという呼び名を付けることになっているのだが、老侯爵はそれを意に介し
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