特別篇その1 王子の初陣
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はいいだな?」
「早いとこいくべ。隣村の連中が、こっちに向かっているって聞いただ」
「酷い目にあったのはオラ達だ」
「そうだそうだ。全部オラ達のだ!」
村人達はお互いに頷き合うと、数時間前まで戦闘がおこなれていた丘へと昇っていった。
およそ20分。
村人達が丘を昇ると、無数の傭兵達の死体が丘の所々に転がっていた。
「ひゃあ! こりゃいっぱい有るだな」
「服に鉄砲により取り見取りだ」
村人達は一斉に傭兵達の死体に群がり、服や鎧、剣に槍にマスケット銃と死体から剥ぎ取り、下着まで剥ぎ取られた死体まであった。
「おおい! こっちに来てくれ!」
一人の村人が声を上げた。
「どうしただ?」
「ホレ、見てみろ」
何人かの村人が声の主の所へ行くと……
「はぁ……はぁ……ひぃ!」
足の骨を折れたが運良くマクシミリアン軍に殺されなかった傭兵が、地面を這い蹲るように丘から逃げようとしていた。
「たまげた。生きとるわ」
「どうするべ?」
「知れたことだべ」
村人達は『ニィ……』と笑いあい、這い蹲る傭兵へ一歩二歩と近づいていった。
あの傭兵がどうなったか語るまでもないだろう。
☆ ☆ ☆
傭兵団を屠ったマクシミリアン軍は返す刀で、反乱を起こしたブラバンド公爵の立て篭もる屋敷に歩を進めた。
「ロケット砲の出番だな、ラザールの活躍に期待する」
「必ずや殿下のご期待に応えて見せましょう」
屋敷を包囲し、虎の子の自走ロケット隊に砲撃準備を整えさせていると、屋敷から白旗を持った男がやって来た。
「降伏の申し出?」
「主力となる傭兵団が壊滅した為、勝ち目が無いと思ったのでしょう」
マクシミリアンの疑問にダグーが答えた。
「……降伏するなら、始めから反乱など起こすなよ」
声のトーンはいつも通りだったが、マクシミリアンは明らかに怒っていた。
「では、降伏の申し出を蹴って、攻撃を開始しましょうか?」
「僕は見せしめの為に、皆殺しにしたい気分なんだ」
敵と判断した相手には一切容赦しない、マクシミリアンの冷酷な部分がここで現れた。
「お、お待ち下さい!」
マクシミリアンとダグーの会話に、ラザールが慌てて入ってきた。
「確かにブラバンド公は反乱を起こし、あまつさえ自分の領土の民衆を殺害しようとしました。ですが降伏して来た者を赦さず殺してしまっては、これ以降、殿下に降伏せず死力を尽くして抵抗する者も現れましょう。早期鎮圧の為にもここは降伏を受け入れるべきでは…
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