特別篇その1 王子の初陣
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農作業をしていた村民達は、歓声の上がった方を見ると、傭兵達が大挙して押し寄せてきた。
『ヒャッハァ〜〜〜!!』
「とと、盗賊だ!!」
「逃げろ!」
農具を捨てて農民たちは逃げ出した。
「おらぁ! 殺せ殺せ!」
それを追う傭兵達の横腹を突くように、丘の上から『La victoire a nous』の行進曲が流れると、ダグーら歩兵隊が現れ新型のミニエー銃で攻撃を加えた。
「ぎゃああああああ!!」
「なにぃ!?」
「何処の軍だ!?」
「糞が、撃ち返せ!」
パパパパン、と傭兵達もマスケット銃を始めとする旧式銃で応戦したが、銃弾のほとんどは丘の上の歩兵隊に届かず地面に落ちた。
前装式ながらもライフリングが施され、ドングリ型の銃弾を採用しているミニエー銃は、飛距離と命中率に優れ、傭兵の旧式銃を圧倒した。
「うわあ!」
傭兵がいくら撃っても弾は歩兵隊に届くことはなく、一方的にミニエー銃弾に晒され、一人また一人と傭兵は倒れていった。
「弾が当たらないなら、丘まで駆け上がれ! 突撃っ突撃ぃ〜〜!」
首領各の中年傭兵が、怒鳴り散らしながら丘への突撃を命令すると、他の傭兵達は不承不承ながらも丘の歩兵隊目掛けて死のマラソンを始めた。
『わあああぁぁ〜〜〜!』
剣や斧を持った傭兵達は、半ばヤケクソ気味に叫びながら丘まで駆け上がる。
その傭兵達にダグーら歩兵隊は容赦なく銃撃を加え、小さな丘を血に染めた。
「ひるむな! 突撃、突撃だ!」
首領各の中年傭兵は声を張り上げ突撃を命令した。
だが、一発の銃弾が中年傭兵の脳天を撃ち抜くと、中年傭兵は草原の上で大の字になって倒れそのまま動かなくなった。
丘の上では、スコープ付きのKar98kの持った執事のセバスチャンが居た。
言わずもがな彼が中年傭兵を狙撃したのだ。
指揮官が死んだ事で、丘への突撃は誰が決めた訳でもなく止まった。
「敵は止まったぞ、一斉射撃!」
突撃が止まった所に歩兵隊の一斉射が放たれ、小さな丘には無数の死体が転がった。
「や、やべぇ……逃げろ!」
「勝てる訳無ぇ!」
この一斉射で一部の傭兵の士気が崩壊し、傭兵達の中から逃げ出す者が現れた。
「おい、逃げるな!」
「やべぇ、俺も逃げるぜ……」
士気の崩壊は瞬く間に傭兵団全体に伝染し、遂に全面敗走へと陥った。
……
「敵軍の戦線、崩壊します」
「オオ!」
「やったな!」
小高い丘の上で、歩兵隊と傭兵団の戦闘を眺めていたマクシミリアンら司令部スタッフは、傭兵団の敗走を見て歓声を上げた。
「結構、追撃に移るがよろしいか?」
「殿
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