特別篇その1 王子の初陣
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した。
「実はというとですね殿下」
「ん? どうしたんだ?」
ジェミニ兄弟がマクシミリアンに語りだした。
「僕達、兄弟としては傭兵の略奪をある程度は見逃して」
「反乱軍の非道を国内に宣伝すべきと思うんですよ」
などとジェミニ兄弟は言い出した。
「プロパガンダをやろうってのか? 残念だが却下だよ」
「殿下なら、そう仰ると思い」
「会議の場では言わなかったのですよ」
ジェミニ兄弟は双子らしく同じ動作、同じタイミングで頭をかいた。
「私としても、『勝つだけ』なら同じような案も考えましたが、何にせよ採用しなくて良かったと思いますよ」
平民出身のラザールも、この手のプロパガンダには反対だったようだ。
「そういう事だ。他国ならともかく自国内でそのような手をとる訳には行かない。参謀に皆には迅速に傭兵を倒す戦術を練ってほしい」
「御意」
☆ ☆ ☆
マクシミリアンが目標とする傭兵団は、その欲望を満たす為にブラバンド公爵の下から離れ、獲物を探すべく辺りをうろついていた。
「公爵サマも太っ腹だぜ!」
「まったくだ。自分の領内なのに略奪の許可をくれるんだからよ」
「ぎゃはははは」
傭兵と言っても、戦争がなければ山賊と大して代わらない。
腹を満たす為に略奪も平気でするし、道路のど真ん中に陣取って商人から通行料をせしめる事など平気でする。
そこらの山賊よりは戦慣れしている為、山賊よりはタチが悪かった。
ブラバンド公爵は彼ら傭兵を雇うと、トリステインの治世が上手く行っていない事を喧伝する為に公爵領内の村々に略奪を命した。
自分の領地を略奪させるなど、タコが自分の手足を食うような愚かな行為だったが、ブラバンド公爵自身が玉座に座る為には何でもする積りだった。
ブラバンド公が玉座に野心を持ったのは、リッシュモンに唆された訳でなく、純粋な野心からだった。
この内乱自体、反乱貴族を燻り出し粛清する為のエドゥアール王の謀略だったが、とうのブラバンド公爵はエドゥアール王の手の平の上で踊っている事を知るよしもなかった
獲物を求めてさまよう傭兵団は、遂に中規模の村を見つけた。
「お、美味しそうな村をはっけ〜ん」
「いいか? 男は殺しても構わんが女は殺すなよ、後のお楽しみって奴だ」
「分かってるって!」
「金目の物は全員で山分けだ。行くぜぇ!」
『ひゃっは〜〜!!』
傭兵達は、それぞれの得物を取り出すと舌なめずりをすると、村に向かって突撃した。
「ん?」
「なんだべ?」
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