第四章
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「それで厳しくしてるのよ」
「迷惑な話ね」
「だからそれが仕事よ」
マネージャーのというのだ。
「私のね」
「厳しくすることが」
「そうよ、何度も言うけれど」
「私はっていうのね」
「そうよ、すぐに調子に乗るから」
それ故にというのだ。
「手綱を締めているの」
「何か馬みたいね、私」
「少なくとも体力は馬並でしょ」
「それはそうだけれどね」
それでもとだ、琴乃は亜美に返した。
「全く、私としては優しくして欲しいけれど」
「いや、亜美さん優しいよな」
「そうだよな」
テレビのスタッフ達はここで言った。
「いつも琴ちゃんのこと見ていてな」
「フォローも忘れないし」
「身体のことも気遣ってて」
「いいマネージャーさんだよ」
「それはね」
このことは琴乃もわかっていて言うのだった。
「まあそうだけれど」
「厳しいっていうのね」
「そうよ、私としては甘やかして欲しいわ」
「だから調子に乗るから駄目なの」
また琴乃に言う亜美だった、そうしたことも話していたが店のおばさんとの話を整えて服作りにかかったが。
服を最初から作る時点でだ、琴乃は驚いていた。
「ええと、臼で」
「うん、そうだよ」
おばさんが通訳を介して笑って言った。
「この服はそうして作るんだよ」
「臼で堅い布を慣らすんですか」
琴乃も通訳を介しておばさんと話す。
「そうしてからですか」
「それがはじまりだよ」
やはり笑って言うおばさんだった。
「日本じゃそうしないんだね」
「はい、着物はありますけれど」
それでもとだ、琴乃は言うのだった。
「ちょっと服は」
「柔らかくしないんだね」
「そうです」
そうしたことは聞いたことがなかった、実際に。
「絹とか木綿じゃ」
「へえ、洋服みたいだね」
見ればおばさんが今着ているのも洋服だった、薄い生地のスカートだ。
「それは楽だね」
「というか臼で突いてですね」
「それと棒で叩いてね」
「柔らかくして」
「そう、それでね」
おばさんは熟練の手つきで突いて叩きつつ琴乃に話す。
「その時に穴が空いていくんだよ」
「そういえば」
琴乃は自分が突いたり叩いたりしている生地を見た、その馬並の体力で叩いているそれは確かに穴が出来てきている。
「結構」
「筋がいいね、はじめてでそんなに出来たのかい」
「まあ何か」
「そうして出来た穴をなおすんだよ」
そうするというのだ。
「刺繍やアップリケでね、それでね」
「そこからもですか」
「色々なやり方で模様を入れるからね」
「それでその服を着るんですね」
「そうだよ」
まさにという返事だった。
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