第五話 ローtリンゲン家その五
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「ですから」
「マイラ姉様はお気付きかしら」
「お気付きになっていましても」
「マイラ姉様にとってはいいことなのね」
「あの方は旧教です」
それもかなり篤く信仰している。
「そうした方なので」
「だからこそ」
「はい、それでもいいのです」
「ロートリンゲン家が我が国を我がものとしても」
「いいのです」
全く、というのだ。
「旧教ですから」
「そうなのね、けれど」
ここでだ、マリアはマリーに言った。
「旧教徒が国王になることは」
「そのことはですね」
「それはね」
「もうなれませんね」
「国教は新教になったわ」
厳密にはその一派にとだ、マリアは言った。
「北の王国から王子をお迎えするにしても」
「新教であることは」
「絶対よね」
「そう話を進められるわね、お父様は」
「そのことはまさにです」
マリーはマリアの疑念にすぐに答えた。
「外せないことでしょう」
「我が国にとっては」
「はい、どうしても」
「では」
「しかしです」
「それでもなのね」
「マイラ姉様については」
その彼女の場合はというと。
「どうしてもです」
「旧教にこだわられていて」
「新教になられることはです」
それはというのだ。
「ないかと」
「そうね、あの方は意志がお強い方だから」
マリアもよく知っていることだ、共にいないが幼い頃から彼女を見てきただけにどういった気質かわかっているのだ。
「だから」
「はい、今も王家で数少ない旧教徒ですから」
「これからもね」
「それは変わらないかと」
「そうなのね」
「そしてそこにロートリンゲン家が入るのです」
「もうすぐ来られるわね」
薔薇を見ながらだ、マリアはマリーに答えた。
「その方は」
「そうです」
「果たしてどうなるのか」
「危ういことにならなければいいですが」
「そうね、けれど」
「はい、私は王子を養子に迎え」
この話に戻った、マリーは再び二人に話した。
「貴女達も」
「それぞれね」
「婚姻を結びますね」
「貴女達はそれぞれのお国に行かれるでしょうか」
マリーはこうしたことも言った。
「そしてその時は」
「これまではいつも一緒だったけれど」
それでもとだ、マリーは言った。
「けれど」
「はい、その時はですね」
「お別れとなるわね」
「そうですね」
セーラも言う。
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