第五話 ローtリンゲン家その四
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「やはり正室との間のお子はです」
「格が違うと」
「そうです、ですから」
「私は、なのですね」
「迂闊に婚姻を進めることなく」
あえてというのだ。
「置かれているのです」
「そういう事情なのですね」
「言うならばマリー様はエースです」
それになるというのだ。
「カードの」
「トランプの」
「そうです、切り札の一つです」
「エースなのですね、私は」
「とっておきのカードです」
王家にとってというのだ。
「ですからまだです」
「そういうこととは」
「何か」
その話を聞いてだ、マリアも言った。それも考える顔で。
「マリーの結婚は特別なのね」
「王と同じく」
「王のご結婚は父上がロートリンゲン家と進めておられるわね」
「左様ですね」
「ロートリンゲン家は格が違うわ」
マリアもよくわかっていることだった、王家の者だけある。
「我がエヴァンズ家とは比べものにならないわ」
「皇帝家ですから」
マリーも言う。
「確かにそうですね」
「ええ、それこそね」
まさにというのだった、マリアはさらに言った。
「別格よ」
「その通りですね」
「だから王のご結婚はロートリンゲン家で」
「マイラ様と同じく」
「そうなるのね、ただ」
「ただ、とは」
「少し気になったことは」
マリアは気付いた顔になりマリーとセーラに言った。
「今言ったことだけれど」
「ロートリンゲン家のこと」
「あの皇室のことですか」
「あの家は私達とは格が違うわ」
エヴァンズ家、自分達の家とはというのだ。
「全くね、けれどのエヴァンズ家とあの家が婚姻を結ぶことは前にあっても」
「マイラ姉様が」
「そう、あの方と帝国の太子のご成婚は」
それはというのだ。
「考えてみれば妙ではないかしら」
「マリー様はご嫡女ですがマイラ様はですね」
「ええ、だから」
「ロートリンゲン家も乗り気とのことですが」
「どうしてかしら」
「おそらく」
ここで言ったのはマリーだった。
「ロートリンゲン家のことですから」
「あの家だからこそ」
「あの家は格式にもこだわりますが」
皇帝家、しかも代々に渡ってだ。帝国は七人の選帝候という有力諸侯大司教を三人含んだ彼等が選ぶがそれは形式的なものになっていてだ。
実質的に世襲になっている、その家であるからだ。
「しかしそれ以上に」
「政治ですね」
「そちらのことは」
「格式に勝りますので」
こうセーラとマリアに話すのだった。
「ですから我が国に影響を及ぼす為に」
「あえてマイラ様とのご婚礼をですね」
「決められたのでしょう」
「我が国もまた」
「おそらく」
これまでロートリンゲン家が婚礼を結んできた他の国々の様にというのだ。
「そうなの
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