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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第6話『例え恐れられようとも』
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も彼女の意図には気付かない。

 十撃。
 よろける。しかし立ち上がる。

 十一。
 倒れる。されど立ち上がる。

 十二。
 諦めない。何度も立ち上がる−−

「…………っ……!」

 メイリアは戦慄する。
 例え痛覚が無くとも、例え体が壊れずとも、こんなもの拷問に近い筈だ。
 大地を割るほどの衝撃に晒され続け、尚立ち続けて誰かの前に出る。すべての注意を自分に引き受けて、その全ての攻撃を引き受けている。

 彼女は人間でもないのに。
 彼女は見ず知らずの誰かを守る為に。
 抗いもしない、なされるまま。しかしただ一つ、倒れない。

 駄目だ。例え痛みがなくても、傷がなくても、これでは余りにも−−

 ──(むご)

「……スィーラ……っ」

 止めるに止められない。
 彼女を止めても止まらないだろうし、仮に止められても魔族の矛先は他の人々に向く。

 倒しようがない。

 駄目だ、こんな事は。

 けれど、それを変える力は無い。

 どうする、どうする。どうする。どうする──!

 何か、この状況を変えられる程の力が−−











「──喰らえ。『アスヴィシシャス』」








 聞いた事もない、声。

 朱い閃光が走り、拳を握る魔族を跳ね上げた。

 なんだ、アレは。槍−−なのか?

 紅の極槍は勢いを衰えさせず、むしろ加速して魔族の体を削っていく。
 軌道を変え、何度も何度もその肉を抉っていく。音速の朱槍は最後に魔族の左胸を抉り取ると、声の主の元へと還っていく。

 魔族は、絶命していた。

「いやはや、面白いモンを見せてくれた。コイツはそれののお礼……って訳じゃあないが、そんなもんだと思ってくれや」

 緑の外套だ。顎髭を蓄えた男は腰に手を当て、先程の大槍を肩に担いで広場を見下ろしている。その横には、数名の武装集団。


「感謝するぜ、よく抑えてくれた。お陰で間に合ったわ」


 その胸に刻まれた紋様を知っている。
 それは、かの少年も着けていたエムブレム。それが指す意味は−−



「──ジーク・スカーレッド率いる『対魔傭兵(リ・メイカー)』分隊全120名、全軍戦場に到達した。これより蹂躙を開始する」









    ◇ ◇ ◇







 ──剣を抜く。

「待たせたな、随分と遅くなったが……」

 ──機能全解放、『ファナトシオルグス』。

「−−テメェら全員生きて帰れると思うなよ、魔族共」


 ジーク・スカーレッドは、光の剣を振りかざす−−!
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