11.ありがとう鈴谷
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だよ」
「そっか……」
「でもやっぱり金剛さんも不安とずっと戦ってたんだね。ずっとがんばってたんだね」
鈴谷が泣き崩れる金剛さんを見ながらそんなことを言っていた。立派な人だと思いながらも、ならなぜその心配りを鈴谷にも見せてくれなかったのか……とちょっとだけ思ってしまった僕は、空気の読めない悪い子でしょうか……。
その後は僕たち企画組も席に座り、みんなの挨拶を眺める。みんなの爺様への挨拶は様々だ。泣き崩れる子もいた。静かに別れを告げる子もいた。悪態をつく子もいた。
「私たちを置いて先に逝くなんて……次会ったら張り倒してやるから……ひぐっ……覚悟しなさい……ひぐっ……でも……会いたいわよ……ひぐっ……アンタに……」
こんな風に、中にはツンデレのテンプレみたいな挨拶をしている子もいた。叢雲って子だったかな? それにしてもホント、みんなそのキャラになりきってるんだなぁ……
元々うちに挨拶に来た子たちは挨拶をせず、摩耶さんを除くほかのみんなの挨拶が終了した時だった。
『それでは今日の告別式の立役者に挨拶していただきます』
いつの間にかぼくらのそばから消えていた大天使オオヨドエルの声でホールに放送が入った。と同時に、なぜか僕にスポットライトが当たる。
「え? ええ?!」
あまりに突然のことで意味がわからず、僕は鈴谷の顔を見てしまった。鈴谷はこのことを知っていたのか、ニヤニヤとほくそ笑んでいた。
「知ってたのか鈴谷?」
「さぁねー。ニヤニヤ」
『和之さん、舞台に上がってください』
「ぇえ〜?! いいよそんなの!! 恥ずかしいよ!!」
『そんなこと言わすに! みんなあなたにお礼がしたいんですから』
大天使オオヨドエルの言葉を受け、ホール内には『そうだー』とか『カズユキありがとー!!』とか『早く舞台にあがりなさーい』とか『ハルナは大丈夫でーす』とかいろんな歓声が上がった。そら確かにそんなふうに歓迎してくれるのはうれしいけど!
「でも何話せばいいかわかんないよ!!」
「適当にあることないこと言っとけばいいんじゃん?」
「無責任なこと言うな鈴谷ッ!!」
「いいからさっさと行くよほらッ!」
鈴谷はうろたえている僕の手を取り、強引に舞台まで引っ張っていった。さっきの時と同じく僕は鈴谷に抵抗できず、ただひたすら引きずられていく。もはや足を動かしてすらいない。ひたすらズリズリと引きずられていった。
「はーなーせー!!」
「いいからいいからー!」
こうして僕は鈴谷に舞台に連れていかれ、ど真ん中にほっぽり出された。爺様の遺影の前に立たされた僕はみんなの方を見る。二百名近くの爺様の友達だった女の子たちが、ジッとこちらを見ているのが分かった。
「うあ……うああ……
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