11.ありがとう鈴谷
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ちゃんだよー!!」
「お前らいい加減にしろぉぉおおおおおおお?!!」
僕がついにみんなの格好や態度にツッコミを入れることに対して堪忍袋の尾が切れた時だった。
「あ……摩耶が来ました」
大淀さんのセリフが聞こえ、僕は彼女の視線の先を見た。……いた。彼女から距離が離れたここからでも分かる。若かりし頃の婆様そっくりな子がいる。その子が同じ服装のメガネをかけた子に連れられ、僕と大淀さんのそばまで来た。顔つきはそっくりだ。生き写しと言ってもいい。
「摩耶さんですか?」
「……あン?」
でも、あの写真のような勢い……爺様にそっくりなプレッシャーや、太陽のような眩しい笑顔というものは、摩耶さんにはなかった。その顔は別人のように沈んでいた。
「おまえ、まさか……」
「ひこざえもんの孫の和之です」
「やっぱり……」
「祖父がお世話にな……」
「……うるせー。今は話しかけんな」
言葉が刺々しい。硬さはないから別に怒っているわけでも気が立ってるわけでもないようだが……まだ受け入れられないのか……それともこの告別式そのものが気に入らないのか……
「すみません! ちょっと摩耶……ひこざえもん提督のお孫さんなんだから……」
「……」
「すみません。ホントすみません……」
摩耶さんとともにいるメガネを掛けた女性(鳥海さんという名はあとで鈴谷が教えてくれた)は申し訳無さそうに僕に頭を下げると、摩耶さんと一緒に会場への列に加わっていた。
「多分、摩耶はまだ納得出来てないんだと思います」
「……そうですか」
「だから、あまり気を悪くしないでください」
「大丈夫ですよ」
大天使オオヨドエルに言われずとも、これぐらいは覚悟していた。告別式をやるということは、爺様の死をみんなに無理矢理つきつけることだ。僕にその気はないとしても、爺様の死を受け入れられない人にとってみればそういうことになる。そのため、人によっては悪態をつきたくなる場合もあるだろうし、告別式を企画した僕に対して怒りをぶつけたくなる人もいるだろう。
摩耶さんの意図はまだ読めない。でも、彼女は来てくれた。ならば僕たちは、彼女がキチンと爺様の死を受け入れて、前に進もうと思ってくれることを願うばかりだ。
「ちょっと和之ッ!!」
「ぁあ、母ちゃん」
聞き慣れた声がロビーに響いた。母ちゃんも到着したようだ。母ちゃんはロビーに入るなり僕達の方に来てくれた。外に出て探す手間がなくなってなによりだ。
「なんとか準備は終わったよ」
「それはいいんだけど……スゴいねこの人数」
会場まで続くコスプレ集団の行列を冷や汗混じりに眺めながら、母ちゃんはそう言って困惑していた。しばらくして落ち着くと、今度は周囲をキョロキョロし始め
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