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忘れ形見の孫娘たち
11.ありがとう鈴谷
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「父ちゃん! 母ちゃんは?!」
「そろそろつくはずだ! ついでに迎えに行ってやってくれ!!」
「分かった! 会場の番は父ちゃんに任せる!!」
「おお!」
「よしいこーう!!」
「分かったから引っ張るなって!!」
「いいじゃん手つなぐのが恥ずかしいの?」
「一回つないでるのにいまさら恥ずかしいもあるかッ!!」

 鈴谷に強引に牽引されて入りロビーに到着する。恐るべき鈴谷の牽引力はとどまるところを知らず、足がもつれて倒れそうになった僕をそのままひっぱり、僕は鈴谷に引きずられる形でロビーまで連れて来られた。なんかダダをこねて母親に引っ張り回されてる五歳児みたいで恥ずかしいぞ?!

「だあッ!! 離せすずやぁぁああ!!引っ張らなくても自分で歩けるからッ!!」
「にっしっしっ……今までずっとかずゆきに振り回されてきたからね。今日ぐらいは振り回すよー!!」
「お前はいつも振り回す側だろうがッ!!」

 ロビーにはすでに大淀さんや妙高さんをはじめとした、すでに見知った何人かが待ってくれていた。入り口の向こう側の外には、何台かのバスが停車しているのが見て取れる。

「あ! 鈴谷のねーちゃんとカズユキだ!!」
「ホントだ!」

 あの、この季節によく似合う涼し気なセーラー服は五月雨ちゃんと涼風かッ!!

「はーいとうちゃーく!」

 ロビーに到着するなり鈴谷は僕の手を離し、僕がその勢いで倒れそうになったところを五月雨ちゃんと涼風が受け止めてくれた。

「お久しぶりです和之さん!」
「五月雨ちゃんホント久しぶりだね!」

 うん。五月雨ちゃんは本当に元気だ。うちから帰る時以上に明るく元気になっている。これが本来の五月雨ちゃんなんだね。

「元気そうじゃねーか! カズユキー?!」
「お前も元気そうだなー涼風ー!!」
「鈴谷のねーちゃんともなかよくやって……んぐッ?!!」

 うん。余計なことを口走るその口の元気さはセーブしたほうがいいぞ涼風。じゃないと今みたいに、僕に力づくでほっぺたを左右から挟まれてグリグリされるからなぁ……!!

「言ったはずだ……涼風ッ……余計なことは……言うなと……ッ!!」
「て、てやんでぃ……! あたいは何一つ間違ったことは……言ってねーぞ……!!」
「お前の口は……一言余計なんだよ……ッ!!」
「ぇえ〜!! でも鈴谷は今かずゆきの秘書艦だよー?!」
「ほらみろカズユキ……ねーちゃんと……仲いいじゃねーか……ッ!!」
「それが余計だって……言ってるんだよ……ッ!!!」

 ロビーには大淀さんたちの他にもすでに何人かが到着している。バスから次々と女の子たちも降りてきてるし……僕は大淀さんと鈴谷にみんなに中に入ってもらうようお願いした。

「僕と鈴谷で会場に案内
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