第6章 流されて異界
第145話 星に願いを?
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。これで受け取って貰えなければ、それはそれで仕方がない。そう諦められる……と思う。
普段は纏めている長い黒髪が風に流れる。……聡い彼女の事だから気付いたのでしょう。髪を纏めるよりも、自然な形で流す方が俺の好みに近いと言う事を。
この旅行の間で何度目の事だろうか。ふたりの間に硬い静寂が流れる瞬間は。風に流れる彼女の髪。そして、流れて来る花の香りを感じながら、少し呑気にそう考える俺。
鼻先に突き返されていた青い箱が彼女の前へと引き戻され――
紅いニットのセーターの胸に飾られる真珠のブローチ。
しかし……。
「う〜ん、どうもニットのセーターに似合うとは言い難いかな」
矢張り、ネックレスとしての十字架が有る以上、常に身に付けるのなら指輪かブレスレットの方が良かったか。……そう言う後悔が如実に分かる台詞。
ただ、指輪だと少し重い意味になるのは有希の時に経験済み。ブレスレットの場合も腕時計との絡みが出て来るので……。
「次の時は、もっと汎用性を重視して考えてみるか」
何時も身に付けて居ても違和感のないアクセサリー。こりゃ難問だわ。
アンクレット? ……などとかなり呑気な口調で締めくくる俺。本来ならば素直に身を守る為の技や術を教えた上で、護衛用の式神を付けてやる方が簡単なのですが……。この方法はハルヒに関しては無理。
俺としてはそう警戒しなければならない相手、……とも思えないのですが、それは俺がそう感じたと言うだけの事。他人が同じ感想を持つとは限らない。矢張り、名づけざられし者を異界より召喚して、回避したはずの黙示録を再現しようとした過去は大き過ぎた。
他の人間なら。いや、多分、朝倉さんや朝比奈さんでも術を学ぶ事に問題はないと思いますが、ハルヒだけは流石に……。
次の時は……ね。小さく、まるで安堵の如きため息と共に呟かれる独り言。そんな小さな囁きさえも、彼女の口元を僅かに白くけぶらせ、囁きなりの自己主張をした。
そして、
「ねぇ、ひとつ聞いて良い?」
少し心ここに在らず。そう言う雰囲気を発し始めた俺。その顔を右側から見つめて居た少女が話し掛けて来る。
雰囲気としては至極真面目な気配。それに、小さな決意のような雰囲気も同時に発し始めている。
「あんたを示す星ってないの?」
ほら、仙人の中には破軍星とか、天殺星とか、死兆星とか。星に関係した連中が居るでしょう?
いきなり意味不明な事を聞いて来るハルヒ。ただ、何となくだが、その質問の意味は理解出来る……、様な気もする。
もっとも、俺を示す星か……。氷空を仰ぎ視、そう小さくため息をひとつ。
「かなり遠いけど、ない事もない」
俺の星座に関しては誕生日を知っている以上、わざわざ聞かずとも知ってい
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