第6章 流されて異界
第145話 星に願いを?
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う言う代物や」
別に隠す必要もないので、すべてを包み隠す事なく話して仕舞う俺。まして、市販されている物を買って来たにしても、自分で作成したにしても、どちらでも価値は、それほど変わりはしない……と思う。要は労働の対価として得られた現金で購入したか、自分自身の時間を費やしたのか、この差でしかない。
「正味、それを作るのに掛かったのは夕食一回分程度かな」
あんた、一体、何処の大富豪様よ。さしずめあたしは無学でガサツな花売り娘と言う役割よね。来週辺りには競馬場にでも連れて行ってくれるのかしら? ……などと言う軽いツッコミは無視。ただ、彼女が言う花売り娘が実は正統なる魔女の家系、挿針術と言う珍しい呪詛を行使出来るウィッチだと言う説があるぐらいなので、アンチキリストの存在。バビロンの大淫婦に成り損ねた彼女には相応しい比喩かも知れないが。
そもそも、掛かった夕食一回分は費用ではなく龍気。確かに純金を消費して手に入れる方法も存在するが、それは流石に現金を消費して手に入れた方が安いぐらいの状態となるので、普通は龍気を消費して手に入れる。ここに表の世界の常識など入り込む余地はない。
更に、今、ハルヒが手にしているのはかなり特殊なアイテム。人間の宝飾デザイナー如きが、ノームの技術や意匠を真似る事は難しい。それこそ悪魔に魂を売り渡して、その技術を手に入れるしか方法がないぐらいに。まして、真珠はすべて水の精霊が海から獲って来た天然もの。
其処に呪詛を無効化する呪を籠めてある。こんな物、市場に出回る事はまずあり得ない。何処ぞのインチキ教祖が売りさばく、幸運を呼ぶ○×とは訳が違う。
「流石にオマエが攫われた時は胆を冷やした。あんな思いは二度とゴメンやからな」
何度言っても危険な場所に首を突っ込もうとする性格が変わる事はない。これはおそらく、涼宮ハルヒと言う少女のアイデンティティに関わる問題なのでしょう。
確かに今、彼女が首に架けている十字架だけでも雑魚は追い払う事は出来るのですが、それが通用するのはおそらく雑魚だけ。コイツが涼宮ハルヒで、その後ろに俺や水晶宮の住人が居ると言う事を知って居て尚、コイツにチョッカイを掛けて来る連中に対して、この十字架だけでは流石に心許ない。
ならば、防御を固めるしかないでしょう。少なくとも、ハルヒに対しての監視――這い寄る混沌に代表されるクトゥルフ神族などではなく、地球出身の神族による監視が緩む可能性は低い。おそらく長くても最初の数分を持ち堪えられさえすれば、必ず誰かが助けに現われるはずですから。
「まぁ、オマエの事は必ず守ってやる、そう断言出来るのならこんなモンは渡さずとも良いんやけどな」
それでも、俺は何時までこの世界に居られるのか分からないから。
本当は口にしたくなかった内容
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