第6章 流されて異界
第145話 星に願いを?
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彷徨わせる彼女。しかし、結局はその手の中の箱を開くしか話を先に進める術がない事を理解したのか……。
ゆっくりと箱を開くハルヒ。その開かれた箱の中に存在した真珠と銀で花を象ったブローチが、冴えた月の光を反射した。
しかし……。
「でも、流石にコレは受け取れないわよ」
あんたとあたしの関係は、そう言う関係じゃないでしょ。
最初にありがとうと言った後に、少し……いや、かなり迷惑そうな口調で、そうはっきりと言って来るハルヒ。但し、感情の方は微妙。口調では完全に拒絶しているが、心の方は、どうもそう簡単に割り切れている訳ではない雰囲気。ただ、そうかと言って、簡単に受け入れて良いか、と言うとそうでもない。
常識人らしい遠慮。迷い……と言う感覚が一番強く流れて来ている。
表面上は迷惑そうに。しかし、心の奥深くでは迷いながらも、更に言葉を続ける。
「大粒の真珠がひとつに、その脇にふたつの真珠。その周りを銀……だと思うけど、銀色の金属で花びらを象っている。あんた、これ、一体、幾らしたのよ?」
どう考えても数万円はしたんじゃないの?
高校生が友達にクリスマスにプレゼントをするには少し高価すぎるわよ。そう言いながら、俺の鼻先に青の箱に入ったままで突き返してくるハルヒ。
まぁ、一般的な男子高校生では手に入れられるレベルの装飾品ではないのは事実ですよ。
……と言うか、成るほど、そう来るか、と言う気分。
「なぁ、ハルヒ。オマエさん、少し常識に囚われ過ぎていないか?」
確か、俺はオマエの目の前で、懐から紫水晶を取り出して見せたと記憶しているのだが。アレはパチモンやクズ石とは違う、ホンマモンのアメジストやで。
この旅行に来てから、一般的な高校生とは違う、俺の裏の顔を見続けて来たオマエさんにしては、エラく常識人っぽい台詞ですな。
少し皮肉混じりでそう言う俺。コイツは何故か自分が常識人だと思われるのを嫌うので、この言葉は効果がある。
そして、少し彼女から視線を逸らし、自らの足元から、遙か頭上へと視線を動かして見せた。
彼女が俺の視線の動きをトレースし易いように、敢えてゆっくりと。
「ここは地上から三千メートルほどの場所。其処で宙に浮いた状態で夜の闇に沈む街と蒼穹を見つめている人間が、その程度の宝飾品を真っ当な人間のように金を出して買ったと思うのか?」
それは流石に俺の事を馬鹿にし過ぎて居ると思うぞ。
そのブローチは俺の式神が材料を集めて来て、ゼロから作り上げた一品物。当然、そこに俺の術を籠めた護符としての機能も持たせてある。
「もし、それを市場に流せば、オマエの考えている値段の最低三倍。おそらく、十倍の値段を付けても手に入れたいと言うヤツが出て来る。そ
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